御家族解体 公演情報 ポップンマッシュルームチキン野郎「御家族解体」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    原点
    久しぶりにちっちゃな空間で、ポップンの役者さんの呼吸まで感じられる作品。
    11年前の立ち上げにこれをやったのか、と感慨深いものがあった。
    吹原さんの原点ともいえる毒吐きキャラが全開で、役者がどれもはまっている。
    “外では言えないけどウチでは言って笑っちゃう”タブーなネタが満載。
    ハチャメチャだけど一番大事なものだけはしっかり持っている家族の話に
    この際アラ探しは野暮というもの。
    破たんしてるくらいが丁度いいのだ、と思う。特にこの劇場では。
    パンのみみをもらえばよかった、と今も後悔(/_;)


    ネタバレBOX

    会場に入ると、増田赤カブトさんが10か条の“リハビリメニュー”に黙々と取り組んでいる。
    (元気になってよかったね、次の舞台を楽しみにしていますよ)
    最後にゆっくりとスクワットをした後、時間が来ると勢いよく前説が始まった。
    「いいトシをして定職にも就かず・・・」といういつものフレーズに
    あー、ポップンの舞台に来たんだな…と私は感慨にふける。
    いいトシをして定職にも就かず作り上げた作品を披露する彼らに、
    尊敬と羨望の念を抱く。

    舞台はこの下町の居間がすべてだ。
    母一人子一人の家庭、母の留守にフリーターの青年は履歴書を書いている。
    そこへ有名プロ野球選手が訪ねて来て、この家にまつわる自分の家族の話を始める。
    彼の大ファンでもある青年は、荒唐無稽な彼の家族の話に次第に引き込まれていく。

    外での大事件は、全てここへ持ち込まれ、報告され、共有され、受け入れられる家庭。
    父の使い込み、兄のひき逃げ、受験期の姉、彼女を妊娠させた小学3年の弟。
    そして自分は野球に夢中で、ひじの手術を受けてプロになりたいと思っていた。
    母はしょっちゅう男と家を出てはまた戻ってくる。
    マイナスばかりのこの家で、それでも彼らは笑って暮らしていた。
    そしてフリーター青年に驚きの事実が告げられる・・・。

    まずいきなり腹ボテ彼女を連れて来る驚きの小学3年生がインパクト大。
    CR岡本物語さんがこましゃくれて早熟すぎる3年生にドはまり。
    半ズボンから伸びたきれいな脚も違和感なく、ランドセルのCMも行けるよ!

    ひき逃げして海外へ逃亡したい次男に加藤慎吾さん、トラック野郎の荒くれ感が良い。
    この人は”定番のキャラ”でなく驚きのキャラを見せてくれる。
    ガチな被り物ながら衝撃の展開に涙せずにはいられなかった
    「ウチの犬はサイコロを振るのをやめた」(7月に再演!)が忘れられない。

    ダメ親父にダメ兄弟たちが、それでも笑って暮らせるのは価値観の共有があるからだ。
    「大丈夫、何とかなるさ」と、およそ何ともならない感じの出来事を受け止めてくれる。
    誰も追いつめられない、誰も疎外感を持たない、だって家族全員一緒だから。
    唯一イライラしているのは小岩崎小恵さん演じる常識人の長女だけだ。
    その常識さえ捨てれば人生楽しいのに・・・、あーもったいないなあ、という話。
    (いやいや、それだけじゃないけど)

    これがポップンのスタートだったのかと、大変納得。
    この小さな居間から始まったんだね。
    劇団が大きくなり、活動範囲が広がった今だからこそ
    観客と共に原点を共有しようという吹原さんの姿勢を(勝手に)感じた。

    あの空間、あの距離感、そこでパンツ脱がせたりするポップンが好きだけど、
    確かにドリンク代込み4000円はちと高いかな。
    小劇場ならではの“毒を持ったポップン”にファンは焦がれている。
    盆と正月には、実家に帰ってあの居間で過ごそうよ、って思った。
    妙に白髪の似合う吹原さん、下北沢で待ってますから(^^)/

    0

    2016/03/10 00:42

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大