満足度★★★★★
生。
テアトル・ド・アナール「従軍中のウィトゲンシュタインが(略)凱旋東京公演@SPACE雑遊
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン古河耕史さん
ヘルマン・スタイナー榊原毅さん
カミル・フリードリッヒ・ガリウス大原研二さん
ベルナルド・クント小沢道成さん
ミヒャエル・グルーム/デイヴィッド・ピンセント本折智史さん
生きていた。
昨年も、観劇している舞台ではあったが、今日、時間を経て、観たら、より、
5人が目の前で「自分の言葉を話し、息をし、熱をもって、生きていた」と感じた。
劇中の5人が、生き生きと、より、生身感を感じさせていた。
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン役の古河耕史さん。
眼が、違っていた。
何故だろう。確かに昨年観た時も、素晴らしかったが
今回雑游で観た眼の力が数段あがっていたように感じられた。
ある種、「狂気」。凡人には、一瞬、身を引いてしまう
そのオーラが増長されていた。
ヘルマン・スタイナー役の榊原毅さん。
隊長の劇中での空気を変えてくれる役柄に幾度ともなく
救われた。
カミル・フリードリッヒ・ガリウス役の大原研二さん。
昨年、観た時もとても、切なく、辛い、観ていて、誰かが
救ってくれないだろうかと祈っていた。
だから、最後のカミルの死が訪れると、観ている自分も自然と神に祈りを捧げてしまっていた。
ベルナルド・クント役の小沢道成さん。
昨年観た時は「光り」だと思った。
「希望」があの戦場において、とても、明確に描かれていたから。
ミヒャエル・グルーム/デイヴィッド・ピンセント役の本折智史さん。
二役の今作は、本当に力量が無いと演じる事が難しいと思った。
「静」と「動」の演技。
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインにとっての、「光り」だったデイヴィッド・ピンセントの時の柔らかな包み込むような演技は、素敵だった。
「演劇」らしい「演劇」だと、今一度観劇して、感じた。
「演劇」は「作り物」なのか?
そうではないと、強く、思えた。
台詞という言葉が、演技という動きが、あの薄暗い空間を確かに、切り取っていた。
面白い。
昨年、他の方に感想は?と聞かれ「演劇だ!」と答えたのが思い出される。
演劇だからこそ、あの空間が、あの匂いが、あの音が、あの暗闇が、あの光が、生まれるのだなと。便利な世の中の今。
あえて、足を運ぶ意味があると改めて感じだ舞台だった。
そして、雑感。
ふと、今回は受付順の入場だった理由はあの場所だからなのかと考えた。
前回はチケットに整理番号があった。
新宿の往来がある街中のSPACE雑游だから、あえて、意図的にしたのか。
行列が出来ていたら、「なんだ?」って知らない人も興味湧く。