満足度★★★★★
特撮作品を舞台で表現すること
特撮・ローカルヒーロー好きな者です。
初ササヅカイン、初カプセル兵団というニワカでしたが、そういう私に楽しめる作品とのことで、チケット取りました。
普段はヒーローショーを見に行きますが、アテレコとアクションのズレを“こういう物だし”と脳内補完しています。しかし、プロのスーツアクターさんとプロの声優さんだと、こんなにクオリティ高く楽しめるんですね。皆に見えてる黒子という演出もユニークでしたが、アクションシーンではその存在をすっかり忘れ、完全にササヅカインと一体化したリアルヒーローに感じました。
アクションに定評のある劇団という点も楽しみでしたが、脚本、演技、コスチューム、照明音響に至るその全ての調和で、ヒーローショー、アクションショー、演劇、ダンス、といったカテゴライズではない「カプセル兵団」というカテゴリと言える物だと思いました。
普段イベントで見ている、映像作品ではないヒーローショーでは、戦闘の効果や、武器から発せられる光線や弾丸などは「あるもの」として演じる当て振りでしかないわけですが、本作品の演劇表現としての解釈はとても面白かったです。
「カウンター!」と宣言して形態模写するユーモア、「空に円盤が!黒い霧が降ってきた!」とト書きを読み上げての状況説明、パフォーマーの体の動きで効果を表現したりと、これらはとても演劇的で、ヒーローショーにはないものだと。
特に、随所にあしらわれたコンテンポラリーダンスのような体の動きは印象的でした。戦闘員、市民、黒子のパフォーマー女子4人の、殺陣やアクションを超えた「台詞のない体の芝居」が、舞台演劇ってこんな表現をするんだ!面白いな!と感動しました。
特撮ファンがニヤリとできるネタも沢山盛り込まれ、豪華ゲスト、ローカルヒーローの応援と見どころいっぱいで、演劇に馴染みのない私でも大変楽しめましたが、何よりも舞台演劇の可能性に触れられたことが、見に行って良かったなと思えました。
ササヅカインのご活躍をお祈りしております。また機会あればカプセル兵団の公演にもおじゃましたいと思います。
追記:
ランビニオンのマザーヴィシュヌを演じた永澤菜教さんが、昭和特撮伝説の女怪人・曽我町子さんを彷彿とさせ、大変ステキでした。