満足度★★★
新人・木村優里の踊りを堪能
26日の午後、新国立劇場で上演されたバレエ公演『くりみ割人形』を観てきた。主な配役は画像を参照されたい。この日、主役である金平糖の精を踊ったのは、今年春に新国立劇場バレエ研修所を終了し、すぐにソリストとして入団した新人の木村優里。ファースト・ソリストの寺田亜沙子を押しのけ、小野絢子、米沢唯に次ぐ次世代の主役として期待される逸材。実は別に彼女が踊る日を選んで出掛けたのではなく、購入したチケットの公演日がたまたま木村の踊る日だったというわけだが、正直こういう有望な新人の踊りを見ることの出来る日に当たったというのは誠に幸運というか有りがたかった。
肝心の踊りであるが、しっかりした動きで基本・応用とも十分に身についているという印象ではあったが、やや小ぢんまりとまとまってしまった感が無きにしもあらず。もう少し大きく大胆な踊りへと成長していって欲しいものだ。笑顔の表情もなかなか美人であり、確かに次世代のホープとしてみて間違いないだろう。
王子役の管野英男もよくサポートしていたし、王子役としても踊りもしっかりしていた。惜しいかな、もう少し慎重があれば文句なしである。
クララを踊ったのが広瀬碧。彼女の配役もある意味抜擢と言えるものであったが、いわゆる役柄に徹しきれていたとは言えないような印象を受けた、彼女の場合、顔の表情で損をしてるように思われる。
そのほか、この日はくりみ割人形役の小野寺雄が転倒するミスが有ったりしたが、大きな破綻は無し。
問題は、演出全体がちぐはぐで、ストーリーを追うことが難しいというか支離滅裂な部分が出てきてしまう点。牧版の欠点とも言えるクララ・金平糖を分けたことや、舞台上の踊りての配置がスカスカであるというのは誰もが認める所。さらに1幕先後にクララが1人で馬車に乗って退場したのに、2幕ではクララだけでなく王子まで馬車に乗って登場というのは前後の脈絡無視の演出としか言いようがなかった。
結局のところ、2幕はバレエ小品集を集めたものと割りきって観るよりほかはなかった感じ。
その中で、アラビアの踊り、中国の踊り、そして花のワルツはなかなかの出来栄えであった。特にアラビアの寺井七海と中国の奥田花純の出来栄えが素晴らしかった。
次回のバレエ公演鑑賞は、来年5月のドン・キホーテになりそうだ。