満足度★★★★
懐かしき日を、激烈に懐かしむ。
学生たちによる、文士(崩れ、或いは卵)達の魂のまるで憑依したような烈しい形象は、拙さの残る身体からどの方向へも絶えず放たれる熱によって、却ってしなやかさを帯び、それらが人物の半端なくぶつかるドラマの全体を「青春」の切なさに染め上げていた。 文学者なら、詩人なら、かくあるべし・・・、そして愛欲。 中原中也と小林秀雄、その共通の女性のエピソードから若き頃の作者が書き上げた「痛い青春」の一コマ。痛く烈しい「青春」の渦中に作者もあったと思わせる筆致の鋭さ、演劇への情熱の形もしのばれる。 水が、食い物の欠片がまき散らされ、役者に体当たりの演技をさせる場面がそこかしこに仕込まれている。それらは恐らくこれに取り組んだ学生にとって、そしてその結果、観客にとっても、「身体」なるものと向き合う時間となった。 思い出すと、血が沸き立つてくる。