満足度★★★★
命をつなぐ水を、庭にまく
渡辺えりが約20年の時を超えて再演。中嶋朋子を迎えての舞台は、小劇場に力強く、不思議でしかも妙に現実感あふれる世界観を描いてみせた。
庭にまかれる水が、原始からの命をつないでいく。演出家としての渡辺えりが思いを込めたのは、小さなころから苦労のし通しだった実のお母さんへの物語という。各所で小さな笑いを取りながら、不思議な感覚のまま進んでいくのは、女性という生き物の人生を微妙な変化をつけて描いているからだろう。
渡辺えりと中嶋朋子の早変わりがすごい。この実力派女優の力演を間近で見られる。それだけでも見る価値があるが、初演時とは比べものにならないほど不安定さを増した今だからこそ、体全体で受け止めたい世界観だ。