満足度★★★★★
三部作
今回三部作「悪と自由」とうたわれた三作品目。
観た中で今作が一番、自分的にはスイッチが入った。
例えるなら 前1作目「ぬれぎぬ」は、観ながら小説を読むような、遠そうで近いかもしれない未来。
前2作目目「非常の階段」。
ふたつの流れが混じり合う所に ナイトは位置していたのかなと。 一つの流れは、穏やかな家族の流れ。 一つの流れは激しく冷たい家族(個人)の流れ。
今作は、一番、劇中のシーンに自分の感情を すり合わせるというか
きもちの中にぐっと手を伸ばして掴まれたような シーンが
沢山、あった。そこに自分が居たかもしれないという苦しい投影今回、
観ている最中の涙。
芝居が終わり、客電がついてから オーバーラップしたように
また、涙が溢れてきた。
悲しみなのか 恐怖なのか 諦めなのか 訳が分からないけど 無性に涙が出てきた。
今回物凄く、観ていて気持ちが動き、辛かった。
しかし、群舞に救われた気がする。
何だろう、力強く打ち付ける大地の音、 跳ねる身体 風を巻き起こす、うねる、駆け抜ける 「生」のようなイメージを、
活力のようなイメージを 「いろいろ、有るけど良い方向を見つけて、そっちにいかなくては!」、
「動かなくては!!」と今回の群舞には勝手にそう感じ取り、救われた気持ちがする。
服従の実験というシーン。怖い。怖い。と観てると苦しくなってきました。
何が怖いのか。「理性」が「やめろ」と思ってるのに、「命令」「浮遊する責任」などで理不尽な実験を服従してしまう・・。
怖い。ほんとに怖いと思いました。日本も「責任」のあやふやさでいつの間にか、戦争していたりする可能性もあるのかと。
あと、空襲の場面。
焼夷弾の投下の中逃げる
自分がそこに居たかもしれないという苦しい投影をしてしまうのです。
自分の子がもし、そんな状況になってしまったら。
飛躍過ぎかもしれないけど私にはどうしても観ながらそんな感情に包まれてしまう。
劇中の3月の花火大会桜の季節。
かつての空襲の記憶fireworks(花火)
それは、かつての焼夷弾( fire bomb)の事なんだろうかと。
沢山の沢山の悲しみを鎮めるためなのか。
川の流れにかつての面影はないが、血塗られた、遺体が折り重なっていた
川は未だにその想いを漂わせているのか。