満足度★★★★★
好きです
本公演2回目。
杉浦一輝さんの今回のホン。
観ながら「等身大」というか、まっすぐにぶつけて来たなっていうのが、率直な感想。
だから、前半の其々3グループのエピソードが必要となるのかとも思った。
主軸である物語(兄弟の物語)に最初から関係がある訳でなく、
本来は個々のフィールドの人々。それが、少しづつリンクする。
ただ、「個々のフィールド」のエピソードがより、今回の主題を伝えるのに必要ではなかったのではないかと感じた。
だから、舞台上の「人」の状況は、観ている「わたし」の状況にも、簡単になりうるのではないかな。
でも、戦うのは何も武器を持つことだけではない。
若い、年寄り、男、女、大人、子供・・。
それぞれのフィールドに戦う必要があって、自ら決意して戦う準備をする。
だから、後半の渡辺芳博さんがとある場面での表情や、ライティングに怖さを感じた
プラスの決意は怖くない。マイナスの決意は怖い。
それを感じたのかもしれない。
冒頭での渡辺さんの台詞。
二回目はまた違った響きを感じた。
「俺たちは準備ができてるんだ」と宣言しているかのようにも感じた。
植え続けたものは、本当は何なんだろう?
悔しさ、恨み、涙、絶望、諦め。
何なんだろうって。
2回目は渡辺芳博さんの視線の先に何がみえているんだろうって考えながら、観た。あの、苦しいような、氷のような、「生」を感じさせない視線。
それとは対照的な高橋さんの光が膨張するような視線。 光りと影が本身から離れて、止まっていた時間が動き出したのかも しれないと感じた。
個人的には
繋がり上、必要だったと聞いたダンスは少しどうなのかなと感じた。
今回からメンバーになった坂本さん、彼のあるシーンで泣きそうになった。
高橋さんも、芝居に骨がある良い俳優さん。
女優陣の中では塩澤葉子さんが上手い方だった。
今回は、脚本、演出の二人をバックアップする大人な人達が素晴らしいなと。
少しお話しした渡辺さんにしても、照明の坂本さんにしても、ある種の愛だなと。責任が有る分、辛いけど、楽しい。
音楽がオレノグラフティさん。
ポイントでカッコ良過ぎる音楽。
照明も、ほんとにぞくっとする陰影の使い方をしている。
光りの強弱の使い方も同じ場所を射しているのだか光りの強弱の使い方も同じ場所を射しているのだが、
気持ちの揺れのようなものがその強弱で伝わる様な照明。
凄い。
あと、ふと劇中の三上陽永君の役柄に関係する物(AV)に関しての考え方がマグリットの「恋人たち」を想像させた。
見せない事での表現。全てが同じ表現ではないけど何故だかそんなことがよぎった。