満足度★★★★
新作
新作。数十年前から、考えると、
「鴻上さんの伝え方が優しくなったな」と観ながら、感じた。
「もっと、知ってごらん、見てごらん、考えてごらん・・・」って。
教科書は開かないけど、芝居を観て、
「どういうこと?それは、なに?」って、
観た色んな人が、紐解いていくきっかけになる様なホンだった気がした。
自分が若い頃の
芝居で、よく、鴻上さんが描いていた「ここではないどこで、あなたではない誰かと」
どこか、違う空気の、違う世界の話であったことが、
段々、それは、リアルな生活になってきた。
原発も、戦争も。
だから、若い頃の私が「お話」だと思っていたのが、「お話」では、無くなって来ている。
だから、今回の話が、怖く感じる人が多いんだと思う。
昔は、投げつけられた鴻上さんの台詞が、
今は、物凄く平易に、解りやすく伝えようとしてる演出じゃないかなって感じた。平和な何でもない恋人のシーンと、内戦の日本、
真裏に私たちも同じようなこと、起こりうる。
知ってるけど、それは「自分」とは関係ないからって、
思うのが、もう、危ないよって。
じゃあ、どうしよ?って思うのがこの芝居を観て、
調べたり、考えたり、ってなる事になったら、良いなと思う。
シーン、シーン、色々、感想があるけど、まだ、各地の公演もあるので
もう少し、あとで・・・。
客演のお二人を軸に、様々に絡んでくる虚構の劇団の俳優の面々。
観ていて、森田ひかりさんが、良かった。
毎回、一つずつ、力をつけていると感じている女優さん。
一生懸命さだけでは、ダメだという事がわかったような
何か、自分の武器を身につけての芝居だった気がする。
杉浦君も、蝙蝠の様な面白さを今回は感じた。かなり、押さえた芝居で良かった。
渡辺芳博さんは、今回、息をつかせてくれる大事な役割だったと感じた。
勿論、今までの公演を観た事のある方は、「お!」と思う所もあるのだが、
位置づけが、渡辺さんだからこそのあのまわしかただったのだと思った。