悲しみを聴く石 公演情報 風姿花伝プロデュース「悲しみを聴く石」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「カラーパープル」に似た衝撃
    ほぼ那須さんの一人芝居、独壇場的な芝居でした。

    昔から、かなり拝見している女優さんですが、今回改めて、凄い女優力だなと感服しました。

    寝たきりの夫を、中田さんが演じていると知っているので、ラストの予想は、だいたいつくのですが、それでも、一定の衝撃はありました。

    計り知れない宗教観の主人公とはいえ、テーマが、男女の愛なので、その点では、普遍的に、理解できる部分は多々あるので、退屈せず、集中して観られる舞台でした。

    那須さんと上村さんの、作品選びの目の確かさに、感心すると同時に、次回作がまた楽しみになりました。

    アフタートークのゲストの小川さんの声が小さく、話されている内容があまり聞き取れなかったのだけは、ちょっと残念でした。

    ネタバレBOX

    悲しみを聴く石の謂れが那須さんの台詞で語られるまでは、ずっと舞台には、しゃ幕が掛かっていて観客は、隙間からその小部屋を覗き見ているような感覚でした。

    ほぼ那須さんの一人舞台さながらで、寝たきりの夫に、結婚からこれまでの経緯や秘事を告白するイスラムの女の悲劇が、まるで、紙芝居でも観るように、順次、観客の脳裏に、伝達投影されて、胸に応えます。

    レイプされないように、部屋に入ってきた少年兵に、咄嗟に、自分は娼婦だと嘘をつく妻は、二度目に彼が、自分を買いにやって来ると、まるで解放されたかのように、彼との性のやり取りを享受します。大奥で、年若い将軍を指南する女性を想起して、国や宗教が違っても、女は万国共通の性があるように感じました。

    女性の人権などない地域で、夫にも、常に暴力的に支配されていたにもかかわらず、寝たきりで意識のない夫を見ていると、情が移り、また、もしかして、夫が蘇生したら、人間が変わっているかもなどと、あり得ない想像をする姿にも、万国共通の女の悲しさがにじみ出ていて、切なくなりました。

    昔、アフリカの女性の悲劇をテーマにした「カラーパープル」を読んだ時と同様の衝撃がありました。

    自分は、女がずいぶん強くなった時代の日本に生まれて、幸せだなとつくづく思ってしまいました。

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    2015/12/20 01:45

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