君の瞳には悠限のファクティス 公演情報 進戯団 夢命クラシックス「君の瞳には悠限のファクティス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    「君の瞳には悠限のファクティス」
    日曜日は観劇三昧。一本目お昼は、新宿LIVE村で、佐藤歩さんの出演する、戯団夢命クラシックス #19「君の瞳には悠限のファクティス」を観て来ました。

    前回の「「君の手には夢幻のファクター」」を、予定が重なっていて観られなくて残念だったので、あゆさんからご案内を頂いて、拝見するのを楽しみにしていました。

    内容は、
    聖歴2015年、1月11日
    帝都S区に、突如巨大な隕石が落下し、直径約1km、深さ約100mの巨大なクレーターを作った。

    後に、1.11の悪夢と呼ばれるこの出来事は、戦後最大の超災害となる。

    それだけの天災でありながらも、旧S区民の生存率は約60%という奇跡の数字を出し、政府は他国からの支援により、帝都の機能回復と旧S区の復旧を10年かけて行う。

    しかし、旧S区は今もなお、政府の特別監視区域として隔離され続けている。

    その背景には、隕石落下で生き残った旧S区民のごく一部の中から

    「ファクト」

    という異能力を発症する人間が確認されたことが挙げられる。

    「ファクト」とは、人間が持つ心的複合体(コンプレックス)や、決して叶わない望みに対する欲求、鬱屈した精神、それらが何らかの影響(※恐らくは先の災害)で膨張し、それによる自己の崩壊を防ぐ為、

    「人類を次なるステージへと昇格」させる能力とされている。

    そして能力者を「ファクター」

    と称し、瞬く間に人々の恐怖の対象となった…。(非営利フリー百科事典:Kimipediaより一部抜粋)

    復旧を続ける旧S区、そこに住まう人々、ファクター、災害の恐怖からの離脱、変わりゆく政府、様々なモノが水面下で錯綜する中、旧S区裏陽(ウラハル)にて、ひっそりと探偵事務所を営む二人のファクターがいた。

    リンゴ(紅葉美緒)とベリィ(丸山直之)
    ファクター絡みの仕事を、法の外から解決する、彼らに待ち受ける運命とは…。
    というもの。

    前回の舞台を観ていなくても、すんなりと話の中に入り込んでいけて、初めて観る人でも十二分に楽しめる。

    出ている役者さんの全てがかっこよくて、素敵なのもありますが、ストーリー自体がとてもいい。

    昨今、ニュースを見る度に、自分と相容れないものを、歴史に学ぶ事もせず、相も変わらず、力で、暴力で押さえつけよう、排除しようというニュースと映像の多さに、暗澹とし、憤りを感じていた。

    人と違う能力を持っているのは、悪いことなんかじゃない。人と違う考えを持つことは、いけないことじゃない。皆が同じ意見に悪く傾いた時、そこに戦争が起きる。

    この舞台もまた、ファクトという他の人には備わっていない能力を持ってしまった故に、排除されようとするファクターたちと、それを排除しようとする政府との戦いの話である。

    しかし、それは、力対力ではなく、力で潰そうとする政府に対し、人間としての思い、人が笑顔で幸せに普通に暮らせる事を守るために戦うファクターたちの心の戦いなのではないか。

    いつもなら、印象に残った役者さん、お一方お一方について、書かせていただくのですが、ベリーもサクラも、グレイプもライチも、サツマもレモンも、スモモ、アンズもユズもブロッコも....全ての役者さんが印象に残っていて、書ききれないので、今回は、観たまま感じたままの感想だけを書きます。

    アンズのファクトである、思いを乗せた言葉を聞いている内に、頭を過ったのは「言魂(言霊)」という言葉。

    私は経験から、言葉には魂が宿ると思っている。悪い事を考え、悪い感情、思いを乗せて発すれば、悪い状況が生まれ、悪い感情、悪い思いが人に移り、悪いものに取り巻かれるが、優しい思い、善い感情、温かな思いを乗せて発すれば、その逆に、善い状況が、感情が、思いが人に移り、温かで優しいものに取り巻かれる。

    言葉は刃にも人の心を包む毛布にもなる。刃の言葉は切っ先鋭く、人を傷つけるけれどその反面とても脆い。刃こぼれもする。

    けれど、毛布は例え破けても、縫い合わせ、繕い、傷はついても元に戻せる。優しく温かく善い言葉の毛布にもしっかりと一度でも包まれた人の心は強い。

    人を思う心の強さは、そのままその人の持つ言葉の持つ血からの強さでもある。

    もし、善い思いを乗せた言葉で、しっかりと相手の話を聴き、話し合うことが出来たら、力ではなく、武力ではなく、それよりも強固な言葉で歩より解決出来るのではないか。そうすれば、人を受け入れ、争いはなくなるのではないだろうか。

    笑って、泣いて、感じて、考えた舞台だけれど、エンターテイメントとしても思う存分楽しめ、アクションがかっこよくて、血沸き肉踊る舞台でもあり、観られて良かった。

    文:麻美 雪

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    2015/12/06 21:07

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