てくてく。 公演情報 Nuts Grooove!「てくてく。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    心温まる
    本公演は約20年ぶりの第2回公演、そして再演である。雰囲気は昭和テイストであるが、物語は平成28(2016)年8月中の一週間という設定(掲示しているカレンダーに山の日が既に祝日)であろう。
    一軒家(夢見荘)...大家、猫(♀)一匹、住人(男2人、女1人)のシェアハウスに、5年ぶりに新しい入居者が来ることになり盛り上がる人々。そして舞台セットは物語にピッタリ。その新人と住人達の交流を通して描かれる人情ドラマは秀逸。

    ネタバレBOX

    この家に住んでいる人達は、みんな心に様々な苦悩を抱えている。しかし、新入居者の拒絶した態度と住人達の交流を通して改めて心の深淵を覗き込み、一方新しい住人は心を氷解させていく。その過程が擬人化の猫・ナナ(田中優希子サン)を緩衝としてゆっくり変化していく。

    舞台セットは和室。上手寄りに共用部屋、そこに丸卓袱台・茶箪笥など、下手が新入居者の部屋。その間には仕切りがないため、パントマイムによるドア開閉。できれば開け閉めの音があると効果的だと思う。
     
    さて、登場人物・動物は、5人と1匹であり、そのキャラクターと心に闇を丁寧に描き出す。大家さん(かとうずんこ サン)は、夫の浮気相手の女性にコンプレックスを持ち、女性恐怖症になる。住人男(40歳過ぎ)・タカヤマ(山崎いさおサン)は、男色で未婚、親に嫌われたくない。住人女・リョウコ(黒崎雅サン)は浮気し、不毛な愛に嫌気がさしている。男(23歳)・ミナミ(イワム サン)は、親と喧嘩し18歳で家出した。この新人(23歳)・アイ(石井玲歌サン)との会話を通して、心情を吐露し、逆に新人が住人達の心の痛みを知ることで、自分を曝け出す。この坦々とした暮らしの中に台風が急襲し、その後には青空が...。そんな清々しい気持ちにさせてくれる。

    アイは、父が浮気をし両親が離婚。母は父に徐々に似てくるアイにその面影を見て苦しむ。 慟哭“母がだんだん女になってくる”は印象的な一言。会話が途切れた時の雑踏、路面電車の音など、日本の原風景がその先に見えるようだ。
    当日パンフに役名が記載されているとうれしい。

    次回公演を楽しみにしております。。

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    2015/12/04 22:39

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