『黄金のごはん食堂』 公演情報 APAF-アジア舞台芸術人材育成部門「『黄金のごはん食堂』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    「米」は文化…
    「アジア舞台芸術祭」は、「アジアの若い演劇人が出会う場所」として構想された、国際コラボレーションの“土俵”だという。
    さて「黄金のごはん食堂」は、昨年の「国際共同制作ワークショップ」(15分)で上演したフルサイズ版である。

    この公演は、食を通じて自由と管理、裕福と貧困(飢餓)という構図が見える。近未来の不確かで不安定な社会が透かされるようであるが、ラストには一筋の光が...。

    ネタバレBOX

    場面ごとに時間と場所が異なるが、基本的には2050年(職場・戦場)、2048年(職場・食堂)、2010年(自宅)の三つの時代である。それによって観客の意識が混乱することはないだろう。
    この公演は、食べることは生きること、人と繋がること、幸せが感じられること...そんなイメージを持つものであった。

    最近、「食」をテーマにした映画「東京ごはん映画祭」(2015.10.31~11.13)が開催されていた。世界には「食」を切り口にした映画祭がいくつかある。生命に直結した物であり、それを題材にしたこの芝居は素晴らしかった。

    梗概は、2048年の食事情は管理・統制下にある。私・さんしろう(猪俣三四郎サン)は、食堂で働いている。その「食堂」の食材は従業員たちが窃盗している。
    2050年には食料不足で強奪行為が横行している。妻・もえこ(小山萌子サン)が病気、一人息子・ゆうた(遠藤祐太朗サン)は革命軍のリーダー。途方にくれる主人公...この時代のシーンは鮮烈。息子は戦車で轢殺、妻は拉致途中(頭陀袋のような中)餓死する。この母子の死の演出(ナレーション)が印象的である。
    2010年新婚当時の我が家。その追憶シーンは「食堂」への就職が決まり、妻が懐妊(息子)する...幸福期である。

    この世界共通にある「食」を通じて、不平等・理不尽さが鮮明に描かれる。そこには特定の国・地域ではなく、普遍的な問題として強く主張しているようだ。

    ぜひ、このような企画を続けてほしいと思う。

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    2015/11/15 00:08

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