満足度★★★★★
共感して…
20代の頃、演劇研究者の故中山幹雄 氏から近世文学(鶴屋南北、近松門左衛門など)を学んだことを懐かしく思い出した。当時は、どれほど理解していたか定かではないが、「女殺油地獄」の朗読劇を発表したことがある。今でも写真とテープが残っており、恥ずかしいが記念でもある。
さて、近松門左衛門の作品についてはチラシ説明で詳しく書かれているが、その魅力は、登場する人物が皆追いつめられて破滅の道を選ぶ。追いつめられる状況が物語であり、その道を選択せざるを得えない、そこに共感が生まれるのだろう。
芝居は、その選択の過程が観客の機敏に触れることが大切だと思う。しかし、制作側が結果・結論を示しては面白くない。”どうして“は観客に委ねることで解釈が画一的ではない広がりが出来る。
本公演は、近松作品の物語としては忠実であるが、その演出は生演奏音楽、舞台美術としての映写文字など新しい試みで観(魅)せていた。