オバケの太陽 公演情報 劇団桟敷童子「オバケの太陽」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    泣かせるツボを押されてしまった
    10/27午後、すみだパークスタジオで上演された劇団桟敷童子公演炭鉱三部作『オバケの太陽』を観てきた。昨夜に続いての舞台鑑賞のハシゴである。しかも、昨夜とは正反対に感動で涙なしでは見終われないというもの。この桟敷童子、というか、実質の作と演出を行っている東憲司はなかなかしたたかである。人がなくツボというものを的確に攻めてくる。舞台から受けるインパクトが強かろうが弱かろうが、何故か泣かされる。まぁ、観劇に感動する正に正攻法というべき舞台作りと言えるだろう。
    舞台一面に咲いていたひまわりは実に印象的だし、最後に登場する機関車には、「さすがただでは済まぬ桟敷童子の舞台設営」と感心させられた。

    ネタバレBOX

    さて、物語は今では炭鉱もほぼ無くなってしまったとある田舎町。舞台では具体的な町名を使っているが、ちょっと失念。その町名を使うことが、舞台にリアル感を持たせている。小さなことかもしれないが、観る側としては物語に入り込みやすくなる点で重要なことなのだ。
    その町に住む亀田家で両親を失った梁瀬範一という少年を施設に行くまでの夏の間預かることになり、結果として、町中ではないが亀田家と交流のある呉工務店一家や須崎家などを巻き込んで展開される、範一が口にする「オバケの太陽」の意味探りと、彼が唯一心を許す呉工務店の従業員の1人・松尾元との交流を軸に舞台は展開していく。途中、この松尾元と呉工務店の長男の妻との浮気・疾走・離婚騒動も織り込まれ、範一と元との交流物語だけでは暗くなる舞台進行に躍動感を与えていた。「オバケの太陽」という範一の言葉になぜ多くの登場人物たちが反応し一喜一憂するのか、その衝動の根本原因の提示が若干弱く感じられたのが残念に思えたが、結果としてラストで魅せる範一と元の別れの場面のやり取りは、静かながらも秘めた熱い感情が観客に伝わったようで、客席で涙ぐむ人が多かった。かくいう自分も泣かされましたね。

    この舞台で光ったのは、やはり範一役の大手忍、元役の池下重大、そして呉工務店長男の嫁役の椎名りおだろう。客演では、劇団青年座の尾美美詞(亀田家の娘役)の演技がうまかったというか、明るく劇団の雰囲気に馴染んでいた。
    知人・もりちえは須崎家夫人役で登場。呉工務店社長や範一を預かる亀田嘉穂の仲間の1人という設定で、やや控えめながら登場シーンでは、なかなかのインパクトを与えていた。

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    2015/10/30 14:40

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