無心 公演情報 劇団 東京フェスティバル「無心」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    今日の問題を分かりやすく 【長谷部優 版】
    沖縄県における米軍基地反対運動の話。
    その問題意識は分かりやすく、誠実な捉え(観せ)方をしていると思う。実際に起きている事柄をいくつかの視点から検証させるような描き方である。
    公演として、登場人物はみな善人でその場所...米軍基地反対小屋での立場の違いはあるが、本音としての思いは同じである、とのようだ。
    次の点に興味を持ち、同時に気になるところも...。

    ネタバレBOX

    興味深く観たところは...
    第一、沖縄県民による基地反対派と基地(容認)移転派の鬩ぎあい。そこには治安・環境と経済依存という対立面があることは周知のこと。それを日米地位協定を絡め、東京(羽田)と沖縄(那覇)の民間航空運賃・飛行時間を例にとり分かりやすく説明する。

    第二、沖縄県以外の人が基地反対運動の応援することに対する、県民の考え、思いが語られる。ここでは、東京(立川)から来た反対運動者の視点を通じて問題提起をしていた。

    第三、基地反対派のリーダーの娘と米兵との恋愛。その国籍・立場を超えた人間(本能)的感情の素晴らしさ、父親としての心情が覗く。その例として基地の兵による暴行などが悲惨な事件として語られる。

    この物語の舞台セットは、中央に「基地反対違法工作物」としての小屋が建つ。そして反対プラカード。音響に米軍機の爆音が...。

    気になるところは...
    沖縄県以外の人(自分も含め)は日常的に現実を見ていないが、逆に沖縄県民が自分たちの直面している問題を疾病(痛風)の身体症状の比喩表現として...”小指”ほどという認識・同調?であるとすれば残念である。

    さて、日本には第二次世界大戦後に制定発布した「日本国憲法」があるが、それとは別に新日米安保条約に基づき日米で締結した「(日米)地位協定」がある。この協定により在日米軍の取り扱い(治外法権、特に裁判権)は、日本国内であっても日本の法律より優先され、駐在公館(兵は外交官扱い)のようである。1995年に起きた沖縄米兵少女暴行事件等、また、それ以外にニュースにならない痛ましい事件があるかもしれない。日本の中にあってその主権が及ばないという不思議さ。日本国憲法との関係は整理できるのか等々、自分で思考することの重要性を投げかけてくる。
    芝居としては、重要な問題提起をしているが、重くならず客観的な描写に徹していたようだ。一人ひとりの立場、考え方の違いがある中で、それでも敢えて沖縄県米軍基地問題を今日的テーマとして取り上げた意義は大きいと思う。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2015/10/25 21:40

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