満足度★★★★
こういうの好き。
記憶もの。というより、オモイデものか。
初演は観てません。
1995年だったら☆5つつけてた。というのも、良くも悪くも演出やビジュアル的な画ヅラに古臭さを感じる。好意的な表現をすれば、現代小劇場演劇におけるクラシック…かな。
今回は小泉匠久が世界のド真ん中にいる、という構図でないこともあって楽しめた。
ヒロインの高津春希改め高津はる菜の技術力が突出している。ほかにも「上手い」役者はいるが、ちょっとした所作や声の使い方など、一人だけ明らかにレベルが違う。抜群の美形というわけではないかもしれないが華もある。
もう一人、衣装と振付も担当している和泉奈々。アナザーヒロインあるいはアイコン的な位置。この人もバレエによって磨かれたと思われる身体表現のレベルが高い。ただある方向を指さすだけの動きにも美しさと、かつ落ち着きがある。
この二人だけでも十分に観る価値がある。
終盤、阿久津優と小泉匠久の弱った男対決みたいなのも見どころ。
きむらえいこ。独特の脂っこさがいい方向に働いている。
阿部晃大。いつも通り、この人だけ中学生日記みたい。
植草みずき。爬虫類系の顔立ちにはOLよりも海賊や盗賊の役の方が似合う。
ところで、ここの作品は以前から「会社」の描写にリアリティが感じられない。衣装がビビッドすぎるのも関係ありそう。
キャストの固定化も気になる。それも個別の役者さんが、というわけではなく、こういうやつ担当、みたいな役者さんが、候補が何人かプールされてる中から選んでいる、ぐるぐる回してる感じ。
僕は小劇場35歳定年説というのを唱えていて、そう考えると高齢化が進んでいるこういう座組の賞味期限もそう長くないのかもしれない。