満足度★★★★
なりすまし。に、なりすまし。
初めてカナリア派を観劇。
まず、チラシやタイトルから喚起され続けてきた
パブリックイメージと中身が全然違って驚く。
力のある俳優が奇をてらわずにきちんとプレイし、
物語は明快で筋道が立っている。
かつ、けっこうハートフル。唐組っぽくはない。桐朋っぽい。
出演者に尋ねたところ、今回はライトな内容とのこと。
これは映画にもできそうだし、高校生が観たって
老人が観たってわかる。意外だった。
俺はファンタジーが好きで、
物語の筋道を超越したパフォーマーの
プレイに惹かれる観劇者なので少し残念だったが、
完成度が高くて充分に楽しめた。
作品内容は「なりすまし」にまつわる物話を
役者たちが「なりすまし」て演じるというもの。
男女がそれぞれ違う性別を演じた。
そもそも芝居自体が「なりすまし」だから
3重の意味で「なりすまし」の公演だった。
男女はそれぞれペアになっており、
台詞を言い合ったりしているのを
観ながら頭の中でその配役を逆転させたり
して観たら面白かった。
思うに、この作品はあの綺麗な抽象舞台ではなく、
もろ新劇風の屋敷セットで上演したほうがもっと変で
良かったのではないだろうか。
俳優座劇場とかで(笑)。
男女の反転のみが際立って、かえってますます妖しいと思う。
役者では中里さんが吐くほど良かった!