愛しい髪 やさしい右手 公演情報 海市工房「愛しい髪 やさしい右手」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    これは懐かしい!
    観劇させて頂きました。この作品全体に対しての最大の印象は「懐かしい!」の一言です。この作品の文学観、映画的手法演出、そのどれもがまだ観ることが出来るのかと思いました。演出面においては映画「サイコ」のヒット以来心理面を描く作品が取り上げられることも多くなり、自分の内面を描く対象としての「幻影」、「白昼夢」等を登場させる手法は少なくなりましたが今でも目にすることもありますが、驚いたのはこの文学観です。芥川賞作品が低迷し、直木賞に文学的側面においても秀作が多く見られようになった頃より前の純文学作品の恋愛小説に通じていた恋愛観そのままです。その当時の恋愛小説においては、傷ついた女性以上に男が傷を背負い生きていかなければ読者が許さなかったものでした。そして、傷を背負った男は少女や娼婦あるいは水商売のホステスといった女性の横顔に、かつての女性の面影を見出し関わりを持つ、あるいは女性が通り過ぎていく作品が戦前、戦後の文学作品に多かったのですが、恋愛結婚の方が主流になり、恋愛は読むもので無くするもの、となってきて以来文学作品の中にも見られなくなりました。この作品、年配の方には馴染み深いものを感じ感情移入を出来ますが、若い方がこの恋愛観に素直に感情移入出来るとしたら、やや恋愛に対して受身になりがちな方かなぁ、と思います。ある程度積極的に恋愛してきた方には、理解しにくい面が今の時代にはありそうな気がします。もし、文学好きではない若い方でこの作品に強く共感を覚えたとしたら、あと少しだけ自分の恋愛に積極的になってみても良いのではないかと思う反面、そういった方が今でもいることにホッとする思いもあります。

    0

    2008/10/14 20:23

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大