満足度★★★★★
昭和初期の浅草の街
劇団ドガドガプラスさん、初観劇です。
前回の作品の評判が高かったので、エロ・グロ・ナンセンスの世界観や女優さんたちのダンスシーンが観たくて、行って参りました。
この『浅草紅團・改』は、川端康成の『浅草紅團』を下敷きとして、関東大震災から6年経った昭和4年ごろの浅草を舞台に、裏社会で生きる人々の生活が描かれた作品です。
作品には、浅草の街をたむろする乞食、不良少年少女の集団、レビュー小屋の踊り子たち、娼婦、スパイ、震災孤児、作家と編集者、ヤクザなどが登場し、彼らは皆余震に怯えつつも、震災後の不安定な世の中を懸命に生きています。
観ているうちに、いつの間にか私は、当時の浅草の街を生きる一人の登場人物となっていました。
そのため、私の中では上演時間である2時間よりも、もっと長い時間を共にその街で過ごしてきたような、いい意味での疲労感を観終わった時に味わいました。
印象的だった役者さんたち・・・貸衣装屋の女主人や乞食連合のボス役で圧倒的な存在感の石井ひとみさん、一人の男を狂うほど愛した千代子をしっとり演じられたゆうき梨菜さん、チャイナドレスが魅力的な中国人スパイ役のレイアイさん、滑舌よく物語の案内役をされた編集者役の渡辺宏明さん、記憶をなくした男が徐々に記憶を取り戻していく過程をリアルに演じられた丸山正吾さん。
また、ダンスシューズを履いて本格的に踊るレヴューシーンは、見応えたっぷりでとても楽しめました。
お芝居を観終わると、浅草の街をぶらぶらしながら舟和のあんこ玉をつまみ、言問橋まで散策したくなります。