ジジイ達の特攻隊 公演情報 サン・マルガン「ジジイ達の特攻隊」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    しっかり観せる骨太作品
    戦後70周年企画...みんなで考えなければならない年の様相を呈してきている。
    この「ジジイ達の特攻隊!」は鮮鋭にその問題提起をしていた。内容は骨太作品であるが、歌謡漫談という明るいシーンも取り入れて、芝居としての魅力も十分観せてくれた。

    上演前には、「異国の丘」「海行かば」など当時の歌も流れていた。


    ネタバレBOX

    梗概は、昭和20年7月。敗戦濃い日本のある下町。そこに歌謡漫談を職とする<これまたぼ-いず>の5人がいた。 ある日、隣人からの通報で家に憲兵が来て、歌の内容が非国民だ、歌を辞めなければ逮捕すると。しかたなく、<これまたぼーいず>は慰問の道を選ぶ。 初めての慰問先は特攻隊がいる島であった。しかも特攻隊の若者はわずか3名を残すのみ。 そして3人に特攻の命が下る。 若い隊員達の国を、そして家族を想う気持ちに<これまたぼーいず>達の想いが重なる・・・ そして最後の特攻隊が飛び立った時、戦争終結の連絡が入る。

    この舞台セットは、プロローグとエピローグが下町の藤田家で、ほぼ中央に畳敷・卓袱台そして天井から裸電球、下手が玄関になっている。二場面が慰問に訪れた島(背景幕がジャングル)、第三場面がジジイが乗った戦闘機である。表層的な観方をすれば、本当に軍隊を始め当時の国家体制における理不尽さ、非道さ、それに従わざるを得ない無念さが伝わる。もっと言えば、それに面と向かって疑問を呈することができないところに恐ろしさがある。

    芝居としては、ラストシーンは現実的でないが、このように演出したかった心情が当日パンフに記してある「家族を守るという父や母の気持ちと基本的には変わらないのではないか...その慈悲深く尊い気持ちを既存の特攻隊物でない形で表現したい!」とある。

    芝居としては、若い特攻隊員1名が出撃するのが現実的であり、涙も誘うであろうが...。
    疑問としては、島内には軍人8名と民間人(司令官:大佐の妻)という説明であったが、6名しか登場せず残りは見張役ということのようであるが、必要な設定であろうか。些細なことであるが、これ以外は本当に観応えがあった。
    演技は全キャストとも上手いが、特に勝野八重 役(大勝かおり さん)の熱演は素晴らしかった。

    この時期、シアターグリーン3館はすべて戦争関連の芝居であり、今、本当に一人ひとり考えなければならない。
    上演後の挨拶で藤森太介 氏は、「愛」の反対語は「憎」であり、「無関心」も含まれる、という印象深い言葉を心に刻んだ。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2015/08/15 17:23

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