友情 公演情報 NPO法人 演劇倶楽部『座』「友情」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    おもしろき哉。
    主人公の設定を少し変えたり、加筆した他は原文を尊重している(はるか昔読んだ切りだが恐らく)。壤晴彦の語りと、コロス的人間が動くところもあるが、役を得た俳優が演じる「劇」シーンは十分にあり、原作通りと思われる台詞も交わされている。つまり、「芝居になる」ドラマだった。
     中学の病欠の日に一気に読んで主人公と共に激した『友情』を、噛みしめるようにして舞台に見入ったが、テンポよくうまく作られた舞台。暗転後音楽が鳴る。と、それに乗って役者たちが客席通路を通って舞台に上がる。衣裳がしっかり時代を醸している。中に楽器を持っている者が居る。生演奏であった。ピアニカ(後にアコーディオンも弾く)、アコギ、エレキギターの3名。彼らは下手のオケボックスに入り、すのこ状のタテ縞の隙間から青い照明が当たった姿が見える。柔らかな演奏が、痛く生々しい「恋」の道に静かに寄り添う。
     地の文を読む壤晴彦が絶品で、それゆえ演じる俳優の演技にも息が通うのではないか、と思える位。 舞台で動く役者も語りが丁寧で、衣裳とともに明治大正頃の「時代」を感じさせ、信じられた。

    ネタバレBOX

     惜しいと感じたのは、主人公が最後に叩き付ける言葉(日記に書いた言葉)の吐き方が「変化前」の野島に戻ってしまっていた事。「恋愛処女」の役回りを、役者は風貌を生かしてカリカチュアした演技を見せていたが、冷酷な運命の盃を飲み、野島は変わるのだから。
     

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    2015/08/09 09:43

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