フォルケフィエンデ ー人民の敵ー 公演情報 雷ストレンジャーズ「フォルケフィエンデ ー人民の敵ー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    今日、余りに「今日的」な主題である戯曲
    イプセン『民衆の敵』の翻案。公益に資する行動が既得権益と対立し、当の(当時でいうところの)公によって民衆の敵と認定され粛清される話。
    130年前の戯曲だが民主主義の構造的欠陥を指摘した終盤の弁論部分が今に新鮮。見応え感極太。

    ネタバレBOX

    この戯曲は我々が生来乗っかって(しまって)いる「しくみ」の構造的欠陥を眼前に具現化するためのものであり、観客に主張のどちら側に立つか?を突きつける…というような種類のものではないと思う。なぜなら我々はこの板の上に展開される架空の話に「既に共に乗っかっている者」であるからであり、そもそもそこには実質的に選択肢がないからである。

    「あー日本でも同じだ~」とか思ったり「ストックマン博士のような人がいれば~(自分はヤだけど)」という想念に囚われた瞬間、既に観客は「多数(=悪)」側であるわけで、いろいろ言い訳をしたとしてもそこから逃れるのは困難だろう。

    そんな観客に対して「オマエの事だよ逃げてもムダだよオマエだよ」といいつつ「だからね、多数決はシステム破綻してるんだよ。しかも一世紀以上前に暴露されてるし」と説明するわけである。130年前に指摘されたこの民主主義の瑕疵は、その後「新・社会システム」で再構築しようと試みられて世界規模の大実験と大虐殺で大失敗を来たし今に至るんあだなあと。
     
    しかし、情緒的には主役のストックマン博士が全面的に「良いヒト」風に演出されている(まあ当たり前だが)ようにもみえるが、よく考えると「オレは絶対正しいんだから(当時としての民主的な)手続きトバシて進めても全く問題ないんだよ」という横柄で選民的な人物にも見える。「手続きトバシて専制政治」という点では今日的な主題でもあるなと。今日上演する意義は高いと思う。

    0

    2015/07/26 09:01

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大