15 Minutes Made Volume12 公演情報 Mrs.fictions「15 Minutes Made Volume12」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    好企画!
    この企画3年ぶりとか。
    そんなに期間が空いていた印象はなかった。
    いろんな劇団や団体が短編を上演する企画は結構あるからかもしれない。
    しかし、この企画はそういった中にあっても、レベルの高い好企画であると思う。

    ネタバレBOX

    全部見終わって思ったのは、「本気度が高い」ということがある。
    15分だと一発ネタで笑わせておしまいというのが多そうだが、そうではない。
    どの劇団も、この企画を軽く考えていないし、戦闘モードにあるな、と受け止めた。

    それぞれの感想を以下に書く。

    ■Mrsfictions『ミセスフィクションズの祭りの準備』★★★★★
    幼稚園で行われるお祭りの日に、かつてのいじめられっ子といじめっ子が、ダイナマイトを手に襲撃し自爆しようとするキツイ設定のストーリー。
    当日パンフを後から見ると、それぞれの役名は実名を使っているのかと思っていたら、忌村、犯野となっていた。音で聞いたらわからないやつだった。
    犯野を演じた岡野康弘さんは、ヒゲを含めてその風貌が地元のセンパイ風で、ナイス!
    しかし、実は…という展開がいい。
    今村圭佑さんの、ちょっと捻れたキャラも面白い。
    大口開けて笑うというより、ヒリヒリするような笑いが支配する舞台だ。
    オバQ音頭のタイミングもいい。2人の関係とそれぞれの境遇に音頭が響き、哀愁さえある。
    ラストは、そういう感じになるんですよね、と、まあ落ち着くところに落ち着いた印象。
    2人の掛け合いのテンポがいい。さすがに主催団体だけあって、手慣れた語り口。
    コタツがとても悲しい。


    ■20歳の国『消えないで、ミラーボール』★★★★★
    前の団体からの転換から、うまく本編につなげた。
    後ろを向いた座席の選択が上手い。
    他の役者の顔が見えない分、それぞれの回想シーンに集中できる。
    ミラーボールは輝いていたであろう、彼らのその時代の象徴にも見えた。
    彼らが再び集まる理由は一体何か、と少しのドキドキがあった。
    絶妙な感覚で、微妙な感情を表現していた。
    特にラストの、あの感じは素晴らしい。
    数人いる部員の中で、「実は…」の告白合戦の中で、てっきり「笑い」担当かと思っていたら、しっかりと伏線になっていて、彼がラストに浮かんでくるのだ。
    この劇団は、まだ観たことがないが、この作品を観て、是非観たいと思わせた。


    ■MU『HNG』★★★★★
    他の団体が、15分という枠の中で、限られた人数で作品をつくっていたのに対して、MUは総力戦の印象だ。
    最初に登場した人数でストーリーが繰り広げられるのかと思ったら、あとから3人も出てきた。
    後から出てきた3人のうちの、2人のおじさん(安東信介さん、森久憲生さん)のキャラが卑怯だ(笑)。
    いかにも、な感じしかしない。
    すき家での「カラミ」シーンは爆笑モノだ。イヤらしいのに笑えてしまう。
    また、もう1人のおじさん・加藤隆浩さんの、一見真面目そうな風貌が効いている。
    ラスト、ドビッシーのアレが顔に掛かったのならば、普通拭き取るだろう。しかし彼は真顔でそのままでいる。
    「ああ、これはみんなに見てほしかったのだ」と思ってしまった。結局変態なのである(笑)。
    「すき家」の設定は、イヒヒと笑ってしまった。ハセガワさんらしい、上手いところ突いてきた。
    ネタとしては少々古いのに、それを古く見せないのは、前面にしないからだろう。そういうところがMUらしくていい。
    ラストに2人がトイレに行くシーンは、「一体どうなるのか?」と観客を思わせてハードルを上げすぎたか、少し軽かった。確かに、ねじ曲がった性癖たちの中で、ストレートな恋愛を見せてくれていたのだが。
    わずか15分とは思えない、詰め込み方と展開に、MUの短編力の強さを感じた。


    ■The end of company ジエン社『私たちの考えた墓に入る日の前日のこと』★★★★
    15分なのにしっかりとジエン社だった。
    台詞の重ね方。特にシンクロが鮮やか。
    「死んでるさん」という死んでる人が、墓に入る前に、うろうろしながら、自分となんらかの関係があったらしい人たちと話をする。
    この作品では、ジエン社お得意の同時多発的な台詞が、内容的にもマッチしていた。
    つまり、今までの作品では、時間と空間は演出によってねじ曲げられていて、(虚構も含め)重なり合っていたが、今回は違う。
    「死んでるさん」は、死んでるらしいから、時間も場所も(たぶん)関係ないのだろう。
    「死んでるさん」にかかわる3人同士は直接会話をすることはない。「死んでるさん」を軸に会話と物語が回る。
    「死んでるさん」の話(聞き取り)は、まったく捗っているように思えず、彼の目指す先もわからない。
    動かない自転車がそれを象徴するようだ。
    自転車は置き去りにされて、「死んでるさん」は去る。
    そして3人は「死んでるさん」のいた場所に集う。
    「死んでるさん」にとっては、それが悼むことになるのではないか、と思うのだ。自転車が墓碑銘となる。
    「死んでるさん」役の伊神忠聡さんの、ダウナーな感じで、彼が黒っぽい中心となって舞台の上にあるようでよかった。


    ■第27班『夏の灯り』★★★
    好きな男と初めてデートができるようになったにもかかわらず、前髪を切りすぎたから会えないと言い出す女の子に対して、好意も持っている男が励まし、なだめる。それと併行して、彼女を夜店の屋台をハシゴして待つ男がいる、というストーリ。
    とにかく、めんどくさい女だな、と思って観ていたら、ラストに一転する。
    そういう隠されていた真実が、笑いの方向ではないほうへ、すべてを覆してしまうような感じはあまり好きではない。特に難病モノ的なものは。途中に挟まれる屋台のシーンとのトーンもちぐはぐに感じてしまった。
    しかし、男の女の子との関係を強調する、(冒頭と)ラストに字幕で、切なくなるストーリーとなる。

    ■シンクロ少女『性的人間 あるいは(鞭がもたらす予期せぬ奇跡)』★★★
    なんらかのオチがあると思っていたので、てっきり「妻の浮気は、小説家の旦那に小説を書かせるための嘘だった」とかいう感じになるのかと思っていたら、違っていた。
    小説家の旦那が、1人空回りしていく様が、ヒステリックな感じにヒートアップしていく。
    もう、事実がどうでもいい感覚で、妻と黒田が本当にいるのかどうかさえ、どうでもよくなっていく感じがとてもいい。
    だったら、もっとスラップスティック度を増して、さらにヒートアップして、狂っていくところまで持っていってほしかった。
    妻役の坊薗初菜さんの、落ち着いた感じが小説家のヒートアップと対照的で、とてもマッチしていた。



    さて、6作品を観て帰りながら、「自分だったらラストはどうしたか」と考えてしまった。
    ……と、以下に団体ごとに書いたのだが、今読んだら深夜のラブレター的に、バカみたいなので(笑)、削除しました。
    悪しからず。

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    2015/07/10 19:48

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