自由を我らに 公演情報 カプセル兵団「自由を我らに」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    口語訳憲法の妙
    感想を書くのはとても難しい。

    というのもこのわたくしが、憲法フェチと言えるほど憲法大好きでそのなりたちや意味の奥深さにべたぼれだから。誘ってくれた人はわたしのその気質を知ってるからこそ「あなたに見てほしい!」と、誘ってくれたのだろう。

    わたしは今回のテーマを持って、しかも正面から、さらに喜劇として、これを作られた役者、スタッフの皆さんの勇気と真摯さにまず大きな拍手を。そして敬遠されることなく客席と一緒になって転がりながら考えられるように持ってくその脚本と、聞き取りやすい台詞、間のよさ等の役者さん達の力量に感服です。

    ネタバレせずに言える感想は限られる。ひとつそれ無しに言えることがあるとすると、登場人物がたくさんいる中で、わたしの言いたいことをスパーンと言ってくれる人が一人もいなかったことが、唯一の不満である。しかしそれは、わざと観客に自ら考えさせるためにあえてそうされたのかはわからない。芝居としてはない方がいい台詞、かもしれない。

    ともかく、面白く退屈しない。それに遠慮なく笑える。客席の雰囲気もとてもいい。

    それと、わたしはやっぱり黒田勇樹さんが役者に復活してくれて、嬉しい♪

    見るか見ないか迷っている人がいれば見るべし。憲法のことは自分の頭で考えたい人も見るべし。決して結論を押し付ける舞台ではない。安心して笑って考えて、唸れる舞台です。

    ネタバレBOX

    とてもいい舞台だったので、ネタバレというより構成上の不満をいうと、「押し付け論」前提にあることが、憲法の劇をつくるのあたりよかったのかどうか。

    憲法の成り立ちの資料が、国会図書館の特設サイトにも公開されているが、そこには憲法制定を巡るいくつもの議論が、まるで芝居の台本のようにかかれていて、いやそれは実は「単なる」議事録なのであるけれど、実にドラマチックなやり取りがそこにはある。それこそ大の大人が恥ずかしくなるくらい大まじめに、壮大なロマンを語るのも見える。

    それからそこには、民間や政党が提出した複数の草案もある。

    巷ではいかにも日本国憲法がGHQの押し付けであるから憲法を変えるか変えないかという議論になっていて、そこを混乱させないために芝居もそういう設定にしたとも考えられるが、やはり、この議論があったことは変えて欲しくはない史実だとは思う。複数の草案や議論があったことは、資料の存在だけでなく天皇と皇后も度々公的に証言されている。

    ここを踏まえず(もしかしてあえて踏まえなかったのかもしれないが)話が進むため、若干軽薄だ。

    登場人物のひとりでもいいので、心底この憲法の表現や目指すものに惚れぬくものがいていい。それと「立憲主義」という不可避なキーワードに一切触れていないことが、歯痒かった。

    と、書いてしまうと根底からこの舞台を否定してるみたいに聞こえるかもしれないけれど、この前提の違いを感じながらも、腹から笑えるし、納得や説得力も十分ある。繰り返し書くが、人に勧めたいかどうかといえば、迷っているなら、友人と誘い合って行くべし。感想を自分の言葉でわいわい語りたくなる。そこが何よりこの芝居の魅力。

    0

    2015/07/08 05:00

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大