かべぎわのカレンダリオ 公演情報 バンタムクラスステージ「かべぎわのカレンダリオ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    美しいバンタムクラスステージ、健在
    舞台は総合芸術、そう感じることのできる公演はあるにはあるわけだが、とりわけそれを感じる公演。
    キャストのたたずまい、声、語る言葉の抑揚といった役者の魅力に、音響、照明、舞台美術、音楽。そして、場面の構成。物語。物語に登場する人物たちに対して観客が感じるものまで含め、きっとすべてがうまく醸成されるよう計算されている。細川さんによって。

    B公演はロマンティック・コメディと謳われているだけあって笑えるように作られたシーンが用意されているわけだが、A公演もうまくガス抜きができるようなシーンがありライトに仕上がっていると感じた(もちろん重いシーンもある)。ハードボイルドタッチの長編ロマン。まさに。

    よく見かけるお涙頂戴の感動モノではない家族の物語、もっと娯楽に振れた作品である。
    ハードボイルドというエンタメを突き詰めたもの。
    ABともやさしい気持ちを持てる物語であり、くらいものに気付かされる物語でもある。かつ、キャストの個性・役の個性が際立つ作品。25日月曜日まで。ぜひ。

    ネタバレBOX

    これまでのバンタム作品とは違ったテイストになりそうとイベント(バンタムクラスパラダイス)でお聞きしていた通り。観劇後に「えっ?えっ!」とパニックになったりはしない作品。やさしい物語に仕上がっている物足りなさもあるが、しかしそれを補って余りある鋭利な語り口。観ている者を楽しませる仕掛けがたくさん施されている。
    なにより舞台美術。素舞台にパイプ椅子のスタイルに執着せず、美しい映画館を舞台美術と長椅子で表現した。高さの演出に椅子を使うのも流石。椅子やテーブルを持って整然と場転をするスタイルは放棄したが今回の場転の美しさは感動を覚えるほど。カーテンコールまで美しく整然とキャストさんたちが動く。

    ヒロイン二人にカレンダー、バラキまでが主役と見ていいのだろう。映画館で父親たちがつくった映画を観るマレーネのシーン、宮島小百合さんの演じ分けが秀逸。バラキも同じシーン、マレーネへの憎しみと憧憬が入り混じった視線からの、映像に驚く一連の流れにはっとする。
    カレンダーがピストーネに拾われるシーン、ヴァンチュラさんが卑しく笑うのが堪らない。おいしいところを持っていくマルティン、盛りだくさんな感情と動きを見せてくれるアルフレド、紳士然としているのに仔犬の意見を聞こうと言ったスタヨーラ……、挙げるとキリがない魅力的な登場人物たちと、確実に表現してくれるキャスト陣。安心して楽しめるという嬉しさを胸に、残りステージを楽しませていただく。

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    2015/05/17 10:18

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