もっと超越した所へ。 公演情報 月刊「根本宗子」「もっと超越した所へ。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    面白さを組み上げる骨太で繊細な仕掛けたち
    ラストシーンをずるいと思わせることなく、
    それを「超越」として観る側を得心させる舞台の底力に凌駕されました。

    ほんと、面白かったです。

    ネタバレBOX

    4つの部屋の物語のどれにも、絶妙な塩梅での語り口のバイアスがかかっていて、それぞれの色ですっと観る側に訪れ、大雑把な事実関係と刹那を作りこむ繊細な表現が、そこに暮らす男女の印象を少しずつ広げていく。
    観る側に其々の世界が、雑になることも、重くなることも、抱えきれなくなることもなく置かれ、それぞれの世界の異なる質感に交じり合うことなく取り込まれていく。

    そうして、作り手の世界観が観る側にも定まったこと上で、時間を動かし、物語をきゅっとひねって、キャラクターたちに別の光をあて、それぞれの個性を描き出していく。
    その企みには、一時の思いつきではないしっかりとした意図が裏打ちされていて、骨組みが歪むこともアイデア倒れになることなく、それまでの、表層のイメージの先にしなやかな厚みと風景が生まれ、従前のシーンの記憶とリンクする新たな気づきが訪れる。
    だからこそ、再び戻った時間でのロールごとに異なる閉塞や行き詰まりに理が生まれ、概念でなく観る側の行き場のなさにまで歩みを進めラストシーンの超越へと突き抜けるバネになり、観る側を凌駕してしまうのです。

    あのラストシーンをずるいと感じさせないのは実は凄いことで、観る側にロールに抱かた想いが吹き飛ぶことなくついてこないとないと成り立たないことなのだと思う。役者たちがその力を解き放ち4人ずつの男女の異なる個性を導くことができる戯曲の仕掛けを随所に感じ、観終わって高揚感の中でも霧散することのない物語の骨組みの確かさに舌を巻き、観終わってと引きこまれたその「超越」感に更にはまってしまったことでした。

    思い返してみれば、これまでの作り手の公演もいろんな超越に溢れていたのですが、今回は、これまでの、その世界までたどり着いたことへの簡単に加えて、ここから何が訪れるかの期待がより大きく膨らみました。
    作り手がこの「超越」で至った場所はたどり着いた場所である以上に、新たに作り手が様々な作品をt紡ぎ出すスタートラインの姿のようにも感じられたことでした。

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    2015/05/16 07:31

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