満足度★★★★
4つめ(大人少年/chon-muop)、私としては第一位。
未読の戯曲『出口なし』がいやまして輪郭をみせてきた(読んだが早いのですがね) 舞踊系の「大人少年」と演劇系の「chon-muop」(チョンモップ)はどちらも「表現上の要点」を端的に伝えて来る快さがあった。無駄を削ぎ落とした感じは、対象と距離を保てる明晰さの表われか。
今回とくに触れたいのは「chon-muop」。地獄に堕ちた三人のみが登場し、ストレートに台詞劇を展開した舞台である。始めは言葉少なに、動きで表現するが、徐々に台詞が出て、中盤からはのべつ会話が続く。台詞は現代日本の話し言葉で、恐らくあちこち書き変えられている。この戯曲のキーワード「地獄とは、他人の事だ」が、言葉としてだけでなく役者の身体から伝えてきたと感じたのは、8本中このグループのみだ。演者がその場所を無間地獄と感じている事が判るよう、作られている。そのように構成した台本でもあったと思うが、俳優らの演じ分けが明瞭でなければこの「地獄の関係性」は真実らしく見えてこない。キャラを相当程度絞り込んでいるが、特殊なケースに見えるかと言うと、そうでない。普遍性に届く。三役者が台詞を出し通しで終幕になだれ込むが、60分を5分程オーバー。台本としてきっちり伝え切った「端折らなさ」に、私個人は戯曲の理解(従ってリスペクトも)を最も感じたグループだった。