フクロウガスム 公演情報 梟企画「フクロウガスム」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    多重に織り込まれた重厚な悲劇
     純粋に演劇の感想としては、少年の悲劇をこんなにも多重に織り込んで纏め上げた構成は素晴らしいと思いました。そこに贅沢なキャスティングで集められた俳優陣入り乱れての熱演には目を奪われましたよ。
     特に多重人格の演出と演技は私のツボにはまりましたし、子役の頑張りも見事で、あんなシーンさせてしまって大丈夫かと心配になるほどの好演でした。総じて、演出と演技には文句のつけようがないです。
     (以下、別にネタバレというほどでもないけど、込み入った話をネタバレBOXに続く・・・)

    ネタバレBOX

    (続き)・・・ただ、脚本…子ども虐待防止に主眼を置くのであれば、親の心に闇が刺す過程とその時の周りの人達にこそ、もっとフォーカスすべきでしょう。一応触れられていたのは救いですが、本来対処すべきなのは、そこであることは疑うべくもないでしょう。そこにメスを入れなければ、本作は悲劇を悲劇として見せるに留まってしまうと感じました。ただ、「子ども虐待は他所からは見えにくい」とのセリフにもあるように、容易に本質と解決策を指し示せる問題ではないでしょうから、まずは関心を呼ぶというというところから評価すべきなんでしょうね。秀作ゆえの贅沢な注文というべきですかね。
     なお、この運動が広く一般的になった時の危惧を一つ申せば、どこで虐待に線を引くかということでしょう。web上でごく一般的になってしまった見苦しい叩き行為を見れば分かるとおり、この手の匿名での通報は、表面的な情報に基づく、 ごく主観的、身勝手なものになりがちです。「子ども虐待防止」が「親虐待」にエスカレートしないような配慮も必要です。私的な話ですが、夜泣きを虐待と疑われて通報され、警察の訪問を受け、妻がひどくショックを受けた経験を持ちます。100回の通報で1件のリアルな虐待が救えれば良しとすべきかもしれませんが、無為に傷つけてよい親だっていませんから、こういうのはバランスが重要で非常に難しい話です。話を戻しますが、演劇としては非常に秀作で活動自体も理解します。だからこそ、バランスと客観視を忘れないで欲しいです。

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    2015/04/07 23:33

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