満足度★★★
2点の引っかかりが残念
まず冒頭の男性3人の会話が「笠智衆トリオ」のようで頬が弛む。
その後の会話も言い回しや間合いが小津映画風で、そう言えば一風変わった装置はローポジションのカメラアングルの演劇的な表現とも思える。
物語も「東京物語」をベースにしておりいかにも昭和…と浸っていたが、途中であまり必然性が感じられない固有名詞が唐突に出てくることから現代の設定と知る。
これが大いなる違和感。
なんでそうやって時代を特定させてしまうのだろう?
時代設定は観客の判断に任せれば普遍性も出るだろうし、そもそも本作は(先入観もあり)現代らしからぬハナシなのになぜここ数年程度のことに限定するのか理解に苦しむ。
理解に苦しむと言えばもう1点、他の役はリアルな衣装なのに巡査役だけ制帽らしきものだけで記号化したのも不可解。
制服にしないにせよ、あのシャツはないだろう。
内容は装置の使い方なども含めて悪くないのにこの2点が引っかかる。
そんな些細なことに拘らずに全体を見れば、とおっしゃる方がいらっしゃるかもしれないが、堅牢なダムも蟻の一穴から崩れる…まではいかないにしても鰯の小骨が喉に刺さったような、ごく小さな棘が指先に刺さったような、そんな感覚。
一方、2人の甥とキャッチボールをする叔父の見せ方や相似形な長男、長女、三男などは個人的にツボを突かれる。
なお、メイン舞台となるアレの床部分のデコボコはけっこう固いそうで。昇り降りも含めて健康的だこと。(笑)