満足度★★
三校の作品を並べただけのお粗末な演劇フェス
…というのが偽らざる思い。
高校演劇とはいえ、有料公演である以上、どの劇も一定水準を満たしていてしかるべきだし、そうなるよう、企画・運営者は尽力すべきなのに、うち二校の作品は劇構成がこの上なく乱脈、残る一校のは作りがあざとく、良作は一つもなかった。
アゴラグループから所属の演出家を各校に派遣し、シオリオ作りから演出に至るまで面倒を見させるぐらいのことをしなければ、このイベントは来年度以降も本年度並みの低空飛行を続ける可能性が高い。
もっとも、高校演劇には教育的機能もあり、生徒たちに自主的創造を学ばせるのもその大きな役割の一つだろうが、自主的創造を学ばせるには優秀な導き手が要る。
だが、今回参加した三校の作品のうち、一流の指導者が手引きしたと思える作品は残念ながら一つもなかった。
演劇の創作はもちろん、ワークショップなどでも成果を上げている指導能力の高い演出家の派遣を、企画・運営者にはぜひとも検討していただきたい。
一日通し券も売っているのに、全作品を通覧して浮かび上がってくる面白さがないのも残念。
共通テーマのもとに創作させたり、同じ有名作品を翻案上演させたりして同じ土俵で互いを競い合わせれば、全体としての統一性が生まれる上に各校の個性も見えてきて、演劇フェスとしての面白味も増すのではないだろうか?