誰も見たことのない場所2015 公演情報 ワンツーワークス「誰も見たことのない場所2015」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    観客も当事者
     取材事実を科白にした作品なので、言葉の持つリアリティーと一次情報に纏わりついているその周りの空気のようなものまでが、的確な演出と端的な演技で舞台化された作品である。

    ネタバレBOX

     このような手法は、古城氏のジャーナリストとしての経験が遺憾なく発揮された作品でもあるということだ。今回は、再演であるが、再演の為に、再取材と新たな取材をキチンとした上で作品を作ることによって、初演時からの変遷を織り込んでいることも、為すべきことを為しているという意味で評価しておきたい。
     また、取材対象が、自殺に失敗したサバイバーのみならず、青木ヶ原樹海に関わる担当署刑事、民宿経営者、自殺対策支援NPOなど支援団体メンバー、自殺者遺族や恋人など自殺当事者関係者、自殺した者が飛び込んだ列車を運転していた運転手、精神科医、多重債務者支援団体幹部、牧師、精神保健福祉士、歌舞伎町救護センター長等々、自殺者周辺の人々にも取材することによって、自殺の社会学的意味・位置などを浮き彫りにすることで、作品に陰影と深み、重層性が生まれている。
     明確な視座と足で稼いだシナリオ、的確な構成力・演出に、質の高い役者陣の演技で、漸く年間3万人を切るようになったとはいえ、依然、毎日70人程の人が自殺する、この植民地の異常に高い自殺率を考えさせる作品である。

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    2015/03/21 13:39

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