満足度★★★★★
障子の向こう
いかにも重く暗いイメージが嫌というほど匂って来る。こういう救いのない話は好きではない。しかし、観終わってみれば、体に力が入ってしまっている自分がいた。この作品、まったく話がどう流れていくのか?“熊”が怖いという感覚が遠いものだから、最初はぴんと来ずいた。が、次第にじわじわと押しせてくる恐怖感。熊が人を食らう擬音がどんどん生々しく感じられた。なんとも嫌な苦味と血生臭い話、それなのにどっぷり使ってしまった。
始めの若者達と老人の会話の際の照明がかなり印象的だった。あの微妙な薄暗さは絶妙!またセットの使い方もシンプルな作りなのに、左右・全面と次々使い分けられる。そして障子、開けられるのが怖い・・・なのにその向こうが知りたいという気持ちを引き寄せる使い方。温かい家族のいる家の雰囲気から悲劇を描く血のキャンパスまで、開け閉めしているだけのものにいろいろな感情が移っていたように感じた。いつものラビット番長とは違う。しかし、次回もこういう“イイ裏切り方”をして欲しいと期待する。
2015/04/23 08:15
実に見応えのある作品でした!(直接ガンガン褒めちぎりましたが、改めて)まったく違う切り口というのは、劇団としてかなり難しいことだとは思いますが、この作品はそういう意味でも“意味のある作品”だったと思います。