満足度★★★
旗揚げ公演
LINX’Sで初めて観てからの初本公演観劇。
いやむしろ、これが旗揚げ公演だという、なんだかよくわからない驚き。
わたしちゃんとタイトル観てなくって気がついてませんでした。
ブラの話だったのね。
舞台上にはスポーツブラ着けたマネキン一体。
そこに既視感を覚える、初級飛龍伝を思い出したのは、対立の話というあらすじと若手公演だということもあったのかもしれない。
二社の対立するブラ製造メーカー同士の争いの話。
企業間競争を、殺戮し合いの戦争に発展させた話で。
どうして、そんな簡単に人殺しを扱うんだろう、と思う。
戦うとしても別に殺させなくていいんじゃあないのか、他に表現の仕方はあるんじゃあないのか。
まるでアニメや漫画的に、表面的な戦う格好良さだけで、殺してるのに死なせてるのに、見ず知らずの他人の命を奪うこと、人生を断つことに対する実感がまるでおざなり。
舞台上にいる人物の誰一人として、人殺しをしているという自覚のある人物はいなかったように感じました。
それはヒロインの、自分の死に対峙した際の感情表現に如実に出ていた。
ゆえに舞台上に生きている人物はおらず、人物の表面をさらっている、そんな印象を受けてしまう。
総じて説得力に欠ける舞台に。
でも若者らしい舞台だなぁと思ったりもする。
逆に生きた人生の時間がまだ短い若者にしか書けないんじゃあないかなとも思ったりもする。
と同時に、観せ方の上手さ、感覚の敏感さにも若者らしさを感じました。
建て込み舞台が比較的多く見られるHEPで、あえての素舞台。
その何もないがらんとした空間を漲るパワーで縦横無尽に駆け回る、芝居に動きを出す。
客席からの見え方も充分に意識した演出、特に終盤の撃たれるヒロインの背中越しに観せるシーン良かった。
できれば…衣装、舞台奥に赤と青という分かりやすい二社の旗印を掲げているのだし、衣装でも分かりやすい色分けがあると観客に優しかったかもしれない。
旗揚げでHEP、いきなりの大舞台。
なのに良く活かせていて、観て面白い舞台でした。
得るものもあれば、失うものもあるかもしれないけれど、今後に期待したい、また観に行きたいです。