南へ 公演情報 青年団「南へ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    Bチームを観劇。暇人演劇として見応え薄。/約110分
     Aチームを観劇後、何日か置いてBチームを観劇。
     分かりづらく感じた作品への理解が初見時よりも深まったのは、観劇が二度目だったことに加え、ある女を富田真喜さんが演じたことも要因だろう。
     主要人物の一人であるその若い女を、声が通ってセリフの立つ富田さんが演じたことにより、その女を含む日本人の船客たちがなぜ母国を離れて南島へ向かうのか、その理由が初見時よりもよりよく呑み込めた。

     ただ、理解はいくらか深まっても、本作が面白いかと問われたならば、答えは否。
     多くの時間が割かれている詩談義は実を結ばないまま終わってしまうし、詩を語る連中をはじめとする“暇人を描いた劇”としても見応えに乏しい。
     退屈な船旅をやり過ごすため色んな人物がバカなことを始めるのだが、バカバカしさが極まっていないため、コミカルなのに笑えない気持ち悪い時間がたびたび発生するのだ。

     砂漠監視隊シリーズという、宮沢章夫が手掛けた暇人演劇の大傑作を知る身としては、同じ暇人を描きながらあのシリーズほどには笑えない本作に物足りなさを感じた。

    ネタバレBOX

     私が笑いを誘われたのは、多賀麻美さん演じる密航者の女の子が踊り出すシーンのみ。
     あの踊りには役者の持つ天真爛漫な人となりが役を超えて滲み出ていて、微笑ましい気持ちで眺めているうち、気がつけば声を出して笑っていた。

     逆に、ササキが炭酸飲料を一気飲みするシーンは、笑いを欲しているのが明白なのにまるで笑えず。
     本作の作・演出家は日常を細やか且つリアルに描く作風で知られているが、なぜギャグはこうも大味なのか?
     ササキに扮した役者は飲料を“延々”飲み続けて笑いを取りにいくが、子供しか笑わないようなこの手の力業ギャグが、この作・演出家の作品には少なくない。
    『忠臣蔵・OL編』ではあるOLが社食のラーメンに“延々”香辛料をかけ続けて笑いを取ろうとし、『暗愚小傳』では一同が“延々”笛を吹き続けてウケを狙う。

     共通しているのは“一つことを長々続けて笑いを取ろう”という安直な意図。
     今後の作品にはもっとひねりの効いたギャグを期待。

    0

    2015/02/28 20:08

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大