満足度★★★
漱石のさみしさ
冒頭の障子越しの影によるシーンはいかにも時代を感じさせ、どんな物語になるのかと期待が高まったが正直期待外れだった。
どこまで漱石という人間の本質、彼の抱える「さみしさ」が感じられるかという視点で観ていたのだが、幼少時に養子に出され、本物の愛情を感じずに育った金之助のさみしさに起因するという、いかにも単純な図式にしか私には見えなかった。(まあだから“何のことはないただの人だ”ということになるのかもしれないが。)
またタイトある「ねこ」が劇中どのような役割を果たすのかも注目していたのだが、これだけの猫を登場させる理由がどこにあったのか。確かに猫たちによって語られる漱石は彼の人柄を伝えてはいるが。(ただ黒猫の三代目だけは別格だったようで、ただ一匹、金之助時代を見ていました。)
でも皆さんのコメントを読むと大切なセリフがあったようで、谷さんの意図するところが汲み取れなかった部分も私自身多々あったのかと思ったりもします。