満足度★★★★★
円熟味のあるオトナのドラマ
第一幕(70分)は、1979年、浜松の老人ホームで幕を開け、ホームにいる1人の人物の過去である1939年の上海に遡り、さらにそこで登場した2人の人物のその後も語る1959年・京都の場を経て再び1979年に戻るという構成で、まずは概略説明と言おうか下地作りと言おうか、な感じ。
この1939年上海で、三上市朗、小市慢太郎、キムラ緑子、木下政治が揃っている場面を観ると「あと3回なのか…」とシミジミ。
10分の休憩を挟んでの第二幕(70分:カーテンコール含む)は、始まって間もなく「ある事実」が明かされることによって40年の歳月のギャップが一気に埋まり、その隠された部分を見せて行くのでダイナミック。
中でも終盤のキムラ緑子と小市慢太郎の会話シーンは40年の間にたまった互いの想いががっぷり四つに組み合う力相撲のよう(演技、物語としての内容とも)で白眉。涙を拭っているお客さんも少なからずいて、σ(^-^) もホロリ。
また、泣かせつつも笑いも含ませているのが上手い。
さらにその後、エピローグ的にすべての始まりであった「1931年 東京」のシーンを、セピア色の照明に弁士付きで見せるのもイイし、その弁士の締めくくりの言葉が何とも粋。
結成24周年、第43回公演というだけに円熟味があり、しっとりとしたオトナのドラマを堪能。