満足度★★
何故「漱石」なのか
<癇癪持ち>であるという漱石の実像(?)は、関川夏央と谷口ジローの劇画作品で紹介されている。
その漱石の内なる部分を描き出すのかと思って観劇した。
結果、物足りなかった。
猫の存在が”語り部”になると予想していたのだが、表面的な描写に終わっている感が強い。
漱石の内なる感情を表現しえていたのか?
作家としてそれに向き合い吐露した漱石を選んだのは何のためか?
虐待を受ける下りも唐突に過ぎ、その裏側を描き切れていない。
唯一の救いは、2時間あまりの上演時間を長く感じなかったことか…。
これは反面、次こそ掘り下げるのだろうというこちら側の準備する構えによるところも大きいのだが。
「私はここに居ますよ」という暗示のような台詞は、残念ながらこちらにその意味を伝えることなく終わる。