夏目漱石とねこ 公演情報 DULL-COLORED POP「夏目漱石とねこ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    夏目漱石とはどんな人だったのか。
    とても芝居に集中する環境でした。

    ネタバレBOX

    個人的に「こゝろ」以外に
    夏目漱石の著作を読んだことがなかった。

    当日パンフレットに載っていた
    作/演出の谷さんの言葉通り、
    夏目漱石の人となりをwikipediaで参照。

    幼少期も特にそうだが、生涯を通して
    なかなか波乱の人生だったようで、
    著作にもその経験がいくらか反映されている。

    本作では、
    幼少期、青年期、晩年病の床に伏している場面を
    中心に描いている。

    夏目漱石が寂しい人だった、というより
    寂しくならざるを得なかったようにも感じられた。
    精神に支障をきたし、妻に暴力を振るう。
    それも過去、幼少期に養子に出された先での
    養父からの躾もあるような。

    "則天去私"にしても、
    彼が望もうとした精神であって
    どうしても手にできなかったもののように思えた。
    本当に誠実で真面目な人であったのだろう。

    終盤の場面、
    門下生A(これはおそらく芥川龍之介)と亡くなった漱石の霊の
    会話のシーンが好きだった。
    皮肉にも死んだ後の漱石が生きている時よりも
    一番心に残る台詞を言っているなという印象だった。

    あと本作で特徴的に思えたのは、
    ねこ達が登場するが、なんか空気が変わらず、
    寂しいままだなというところ。

    観劇前のイメージで、
    ねこが出てくるとしたら、ねこ達の魅力によって
    違った味が出たりするのかな等と想像しており、
    そこが覆された。

    決して悪い意味ではなく、
    人間として"ねこ"という存在に対するイメージと
    やや異なる実像を見せてもらえた気がした。
    (冒頭、鳴き声だけでやり取りを続ける場面や
    人間の葬式に対する感想などから)

    舞台美術の使い方、
    襖や障子を動かして場面を変えていくのが面白かった。
    こういった上手、下手の横の動きが色々あったので、
    立端も十分にある劇場だから、
    縦にもっと見栄えのする表現とかがあるとさらに面白いかな。

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    2015/02/12 08:44

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