「蛍よ……妖しの海を翔べ」 公演情報 劇団ギルド「「蛍よ……妖しの海を翔べ」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ずれは感じるが
     義経の様々な伝説(死なずに海を渡ってチンギスハンになった)をベースに貴種流離譚として、民衆の持つ幻想を舞台の浪漫にして見せた作品。

    ネタバレBOX

     35年前に初演された作品なので、
    「愛の嵐」でシャーロット・ランプリングが胸をはだけて踊るシーンがそのテーマソングと共に演じられたり、ラストに舞台奥に映し出される映像が日本の学生運動の映像だったりという点はあるが、学生運動が実質的にこの国で完全敗北したのは、1972年沖縄闘争だと思う自分から見ると、感覚が8年ずれている。愛の嵐も1973年の映画だ。
     そんなことより、この作品でユニークなのは、弁慶の描き方である。豪勇無双の豪傑としてイメージされがちな弁慶像が、今作では、知略に長け、冷静沈着で参謀も務める文武両道の達人として描かれていることだ。五条の橋での闘いでも勝ったのは弁慶ということにされており、千本目の刀を入手することもできた、と示唆されている。然し、彼は生涯ただ一度、本気で愛した盲目の人妻を妻が、夫をも愛していた為に、殺す羽目になってしまい、以来、己の将来を閉ざした人物として描かれている。(劇中、それは別の人物だ、との表明はあるが、常識的に考えて嘘だと判断した)ただ、本当にそれほど優れた人物であったのなら、何故、義経に賭けたのか? その辺りの説得力がやや弱いと感じる。たかだか伝説を作る為に他の総てを犠牲にするという発想が、非合理的である為、納得がゆかないのである。
     天下布武を目指した頼朝と人情に踊らされた義経の差を政治感覚の差として描いている点は評価して良い。(但し、ここでも、その差を知り抜いていた弁慶が、表に立たないことの不如意が生じるのだ)閑話休題。螢と義経の影武者、杉目小太郎行信の関係が哀れで心を打つ。

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    2015/02/01 18:53

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