トカゲを釣る-改- 公演情報 スロウライダー「トカゲを釣る-改-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    音に恐怖感を煽られるが
    音がとても印象的です。
    低く響き渡る怪しげな音や、重い扉の開閉音に、なんというか原始的な恐怖感を煽られます。

    が、音で不安にはなるけど、内容について恐いと思えなかった。
    恐怖感を感じなかったらこの作品、ダメなんでしょうね。
    よく出来ている感があるだけに、残念だなぁ。

    ネタバレBOX

    この作品、何が恐いかって、牛の奇形が恐いのではない。
    それをとりまく人間の心理が恐ろしいのだ、と思う。いや多分だけど。

    みての通り自分は満足度が低い。なんで適当に満足行かなかった所をずらずら書いてみる。

    なんか人が薄っぺらい。背負う物の重さが感じられなかったり、葛藤が感じられない。
    盲信するなら、もっと思い切ってやって欲しいし、
    会社第一の人がいるなら、人名第一の人との口論とかそういう関係が欲しい。
    もっと内部での仲間割れ的要素もありそうだし、
    ラストはワギュウをあっけなく殺すのではなく野放しにするとか、そういうことにして欲しい。

    会社内の権力者が、会社第一で人を見殺しにする選択をする。それはそれで微妙に恐くはあるが、まだ足りない。現実味がないのだ。彼の方針に全力で反対する人間が、道徳的な人間の心の声を代弁する人間が必要なのではないか。
    そういう声が、多数決で封じられ、見殺しは決定事項となるような流れこそ、(少なくとも自分の)恐怖を煽るのではないか。と思う。
    だが現実には人間の見殺しについてはあまりクローズアップされず、あくまで問題の焦点はワギュウを殺す算段について。
    そもそも、見殺しにするつもりならワギュウを殺して、そのまま人も殺せばいいのに、そこまでは及ばない。人を殺したくない、でも見殺しにはする、そういった葛藤は実に見せ物(失礼!)になったんじゃないかな。結果として、そういう方法に思い至らないだけというのは、ちょっと頭がわるい感じに思える。

    で、最後はワギュウの生みの親。ワギュウ第一であればもっともっと頑張って欲しいのに、首つったりしてどうにも、ワギュウ第一って感じがしない。人を捕食するから神だよ!
    ってくらい狂っているのに、ワギュウを殺そうとする者達に対して殺意すら抱かず最後は自分が食べられる側に回るという、余りにも狂信者としてはお粗末な感じ。
    せめて、山に解放するとか、それくらいの気概をみせてほしかった。

    この作品を見終わって、帰りの電車で思ったことは、映画に「ミスト」ってすごい絶望感を誘う映画があるのだけれど、あの閉じこめられたスーパーで、主人公達のようなまともな判断が誰1人出来るものがいない状況が今回の劇にちょっと似ているんじゃないかな、なんて事だった。

    0

    2008/09/08 00:06

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大