男は二度死ぬ・その一度目!!~その三~ 公演情報 ライオン・パーマ「男は二度死ぬ・その一度目!!~その三~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    したたかにずらす
    クリアに物語の顛末を観る側に供するのであれば、明らかにシーンの重さの配分や手数のかけ方が間違っていて、でもそれこそが作り手の企みだと気がつくと、ずれ方というかそのアンバランスさこそがいちいちおもしろくてなりませんでした。

    冒頭のシーンはちゃんとラストに回収されて、エピソードたちもなげっぱなしにならずきちんと束ねられる。そのことで、ズレがいっそう際立ち、そのしたたかさにがっつりつかまってしまいました。

    ネタバレBOX

    ひとつずつのシーンは丁寧に作りこまれた薄っぺらさやラフさで構成されていて、しかも、時にはなんでこんな話が描かれるのかと思ったりもする。
    某有名刑事ドラマから引っ張ってきた「殉職」にまつわる話など、たっぷりの時間を割いて描かれていて、おもしろいのですが、観ている時には話のディテールがなぜここに置かれるのかもわからず、流れが滞っている感じすらする。

    それが、終盤にパズルにピースがはめ込まれるように描かれたことが物語りに収まっていくと、シーンの記憶は単なる刹那の笑いではない意図とふくらみに満ちたエピソードとして観る側に戻ってくるのです。

    ペットショップと言って内実は「カラーひよこ」を売っていたというネタだって、刹那の滑稽さだけに思われた笑いが、思わぬところからしなやかなに物語の流れに撚り合わされていく。
    刑事ドラマの撮影現場でサインをねだるエピソードがここに刺さるのかぁとひたすら感心。

    一事が万事、そのようにして、舞台に置かれたものが観る側の意表を突き続けてもれなく回収されていくことにぐいぐいと引き込まれてしまいました。

    役者たちが、先の展開をおくびにもださず、ぶれることなくそのシーンの色を作り出しているのもうまいなぁとおもう。
    最後に舞台が「前説」に戻ってきた時には、とても心地よい「やられた」感に浸っておりました。

    0

    2015/01/19 10:34

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大