琥珀-elektra- 公演情報 EgHOST「琥珀-elektra-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    志や良し
     ソフォクレスの「エレクトラ」及びアイスキュロスのオレステイア三部作」をベースに作られた作品ということで、ギリシャ悲劇の立体的構造を、如何に現代に立ち上げ得るかが、大問題として演出家には立ち現れてくる舞台であろう、と予想される。

    ネタバレBOX

     コロスの代替として、黒衣を纏ったダンサーによる身体パフォーマンスが演じられるが、コロスと異なり、無論、合唱などの言語表現が無い。ここに、作・演出家は、現代、このアメリカ植民地で若者たちが置かれている、声にならない不条理を表現したかったのかも知れない。であれば、第一次世界大戦でヨーロッパの芸術家たちが受けたショックを表現した、メシアンや、シェーンベルグの曲を背景に流すような演出があっても良かったかも知れない。
     今作で、大きな役割を演じている月の魔力を表すのには「月に憑かれたピエロ」を用いるとか、ラストの愁嘆場では、「世の終わりの為の四重奏曲」を用いるとかである。
     未だ、ギリシャ神話や、悲喜劇に対する理解が、不完全であるという感じは持ったが、果敢にチャレンジする志は評価したい。難しい作品群だからである。若いうちから背伸びしてでも難しい作品にチャレンジしてこそ、今後の延びシロに期待できるということでもあろう。
     演出効果の点では、オレステスが、自ら目を突くシーンで、血糊を用意して欲しい。当然、「オイディップス」が、皆の頭にある訳で、盲しいて、真実を発見しようとする人間的意志が、この行為に象徴されているからである。それが、パロディーであるにせよ、インパクトのあるシーンなので、これは是非。
     大きくて、深く、構造上も複雑な作品に挑んで、未だ消化しきれていなかったり、内包化できていなかったりという点があるので、今回は☆3つだが、今後に期待している。
     

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    2015/01/17 01:25

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