くれない博徒 公演情報 蜂寅企画「くれない博徒」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    渡世
    上州の侠客と言われた火渡 安治郎には、三人の娘があった。隠居することにし、長女、お壱、二女、お継、三女お結に家督を継がせようとするが、お結はこれを辞退。旅に出て仕舞う。旅先で危うい所をおりんという壺振りに助けられたお結であったが、この女たち、妙な因縁で繋がっていた。

    ネタバレBOX


     お結は出帆から2年。故郷へ舞い戻ったが、お壱、お継は、其々が一家を構え、事あるごとに対立していた。お壱の現在の連れ合いは、元お継の色、左馬介。お継の連れ合いは、浪人あがりの元用心棒、与左衛門だが、彼女は他の男とできている。家督は継いだものの、安治郎には、他に莫大な隠し財産があると言われ、その宝の隠し場所は、三枚の花札に分けて隠されていると言う。
     一方、この宿には、おりんも十五年ぶりに戻っていた。亡き母の仇を討つ為である。彼女の母、お竜は、矢張り博徒であったが、色であった安治朗に裏切られ、二人で見付けた宝を横取りされた上、惨殺された。その怨みを晴らす為、おりんは一族郎党苦しめ、根絶やしにしようと復讐を誓っていたのである。(上演中故、ネタバレは此処まで)
     財産贈与と老後の父の暮らしについて、リア王と三人の娘を下敷きにした科白が続くシーンでは、換骨奪胎が充分機能しているとは言い難い。シェイクスピアが未消化なまま使われているという感覚を拭えないのだ。演劇は、状況が、避けようもなく、個々人に襲いかかって来る中で、個々の登場人物達が、それでも立ち向かう姿に対して、宿命がその人物をこれでもかという具合に襲いかかることで、人物を立体化する所に成り立つ。集約の芸術でもある。従って、背景にある事情を良く練ってから用いないと、浮いてしまう。まして、世界演劇の中でも最も優れた劇作家であるシェイクスピアの悲劇を、唯援用しても、他の部分との整合性も欠く為、尚更わざとらしさが際立つ。この劇団の作家もまだ若いのだから、自分の中にある不定形なものを、もっとぶつけてみても良かろう。

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    2014/12/27 00:24

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