満足度★★★
王道的
有名な物語をバレエ化した作品で、この時期の定番『くるみ割り人形』と同様に、家族で楽しめる明快で美しい内容でした。
シンデレラと一緒に住むのが継母ではなく実の父であったり、最後のガラスの靴の持ち主がシンデレラと判明するくだりが少し異なっていたりと細かい変更はあるものの、粗筋を知っていれば動きを見ているだけで内容を追える、分かり易い振付・演出でした。
第1幕後半の四季の精が順に登場するシーンは季節毎に後の幕が上がって奥行きが増して行き、広くなった舞台をかぼちゃの馬車が一周する空間演出が印象的でした。
第2幕は舞踏会の場面で、ゴージャスな美術・衣装と群舞が美しかったです。12時になって魔法が解け、シンデレラの衣装がドレスからみすぼらしい服に早替わりするのが鮮やかでした。
男性ダンサーが演じるシンデレラの義理の姉2人のユーモラスなやりとりが楽しく(カーテンコールでも笑いを取っていました)、悪い性格になり過ぎていないのが良かったです。
コール・ド・バレエの振付はシンメトリーを強調していて、格調の高さが表現されていました。
プロコフィエフの音楽は意外性に富んだ旋律や和声進行でありながら親しみ易さがあり、物語を盛り上げていました。
元々の振付のせいもあるとは思うのですが、演奏とダンスのリズム感が微妙に合っていないように感じられる場面が所々にあったのが少々残念でした。
劇場スタッフの格好やホワイエの装飾もクリスマスの雰囲気を盛り立てていて良かったです。