満足度★★★★
『かげろうための』より高水準
福島は久ノ浜の被災女性がインタビューに答えて語った、あの大災害からの3年半ー。
その語りを女優2名、男優1名、計3名の役者が再現する試み。
これと同趣旨の作品『かげろうための』も4か月前に観ているが、今作のほうが出来がいいのは、取材相手の違いだけに起因するものではないだろう。
役者勢の背後に映し出される久ノ浜の映像、映像と語りの相性、反復や同時発話によるフレーズの強調、強調されるフレーズの選択。
前作より見応えがあったのは、おそらく、以上すべてが前作よりも高水準だったからに違いなく、スキルアップの痕跡がありありと見て取れた。
進境著しいのは役者も同じで、殊に、語っている被災女性の心の移ろいを繊細に表現した横地梢さんの“表情の演技”には強く引きつけられた。