満足度★★
物足りない演出
桐朋音大と東京芸大の学生による、イギリスバロックを代表する作曲パーセルのオペラの上演で、実演の機会が少ないバロックオペラを聴くことが出来て良かったです。
楽譜が消失して台本のみが後世に残ったプロローグの部分を、パーセルの他の器楽曲の演奏とテクストの字幕の投影を交互に行う形で再構成していましたが、せっかくの舞台上演なのに字幕を眺めるだけの時間が何度もあるのは勿体なく思いました。演奏と字幕を同時進行にするか、あるいはプロローグは本編と関連が薄いので丸ごとカットしても良かったと思います。
本編は舞台中央に布を山状に広げた美術のみで、特別な解釈や置き換えをしないオーソドックスな演出で進行しました。人が多く出てくるシーンでは意味が感じられない小芝居が多く、煩く感じました。
ベース照明が明るくて会場の壁がそのまま見えるのが安っぽく感じました。もっと暗くして歌手をスポットで照らした方が雰囲気が出ると思いました。
演劇としては物足りなさを感じましたが、器楽も声楽も充実していて聴き応えがありました。
いっそのこと演奏会形式での公演にして純粋に音楽だけを聴く形にした方が楽しめたと思います。