捨て犬の報酬 終演しました!どうもありがとうございます! 公演情報 おぼりん「捨て犬の報酬 終演しました!どうもありがとうございます!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    信じる者は愚かなのか
    おぼんろの高橋倫平さんが演じるひとり芝居、私には2度目のこの作品は
    改めて面白い脚本だなあと思う。
    “一番キレキレの17:00”を観たのだが、身体能力の高さが活きた
    緊張感あふれる舞台だった。
    ただこのひとり芝居を定期的に続けるならば(続けてほしいので)
    前説や1時間足らずという上演時間などに、今後工夫が必要かとも感じた。

    ネタバレBOX

    バーミンガム闘犬場で勝ち残った老犬に対し
    数多くの飼い犬を殺してきたことや、その残虐性、そして彼が
    “吠えることができない”こと等を理由に、主催者側は優勝を認めようとしない。
    老犬はかつて宝石泥棒の男に拾われ、相棒として共に仕事をしてきた過去を語り始める。
    やがて彼の前にいるこの闘犬場のオーナーこそが、その宝石泥棒であったことが判る…。

    ジャンプしてタイトルが書かれた垂れ幕が落ちる瞬間が良い。
    ダイナミックな題字をもう少しよく見たいと思うのだが
    あっという間にしまわれて残念なほど。
    あのくらいがかっこいいのかもしれないが、もう少し
    あの大きなうねりを感じていたいなあ。

    犬の耳がついた帽子をとって、宝石泥棒の男になるところが自然でよかった。
    相変わらず身体能力の高さを感じさせるキレの良い動きが魅力的だが
    作品全体がシャープになった印象を受けたのは
    メリハリのついた演出の効果だと思う。
    ラストの遠吠えがマジで泣かせる。
    26年間の恨み哀しみ孤独のすべてを解放するような、赦し救われる瞬間が素晴らしい。

    この作品には、“闘犬場へのいざない”あるいは“闘犬場へようこそ”
    みたいな硬派な前説が似合うと思う。
    恭しく礼をする案内人、そこからもう私たちは競技場の観客になる…
    みたいな入り方。

    もうひとつは時間的なことで、あの時間と価格ならばもう1本観たいところ。
    たとえば「宝石泥棒の男」から見た捨て犬の話、
    男はどうしてあの夜約束の場所に来なかったのか、
    闘犬場のオーナーになったいきさつなどを語る「もうひとつの物語」と
    セットにするとか。

    エンディングの微妙な演出で何通りもの解釈が可能なこの作品は
    それだけでも再演の魅力があると思う。
    “毒殺バージョン”や“銃殺バージョン”、あるいは“涙の再会バージョン”や
    “謝罪バージョン”あるいは”謝罪拒否バージョン”など
    観客からすれば泣ける展開がいくつもありそうで興味がわく。
    って単なるファンの我儘か…(笑)

    ひとり芝居って役者の力はもちろんだが、作品の力がもろに出る。
    「信じる者は愚かなのか」人よりずっと純な犬が問いかけるこの物語は、
    長く語り継がれる作品だと思う。








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    2014/11/18 05:59

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