期待度♪♪♪♪♪
利賀での公演、見てきました
利賀の演劇人コンクールでの公演を見てきました。
ほかの誰よりも、七つの公演を楽しみにできる特権を得た。
自慢。
さて、夫婦の物語です。
夫婦とは、文字づらは夫と妻であるが、子供がいれば、父親と母親であり、様々な意味において男と女でもある。
単純に数式にすれば、夫であり父親であり男である者と、妻であり母親であり女である者との、関係の組み合わせは9通りある。
なんのこっちゃ?
この物語は、ある存在の様々な側面と関係がいくつも提示される。
夫と妻、父と母、父と子、母と子、兄と妹、妻と兄嫁、物語の主要な存在だけではなく、隅々のもの、たとえば山と谷、富裕層と貧困層、水の中と外、定住と移動、
そして、それらの関係の、表面、内面、傾き、揺らぎ、きしみ、それらが何通りも何層に重なって提示される。
何通りも、何層にも。
役者の確かな演技力が、謎解き、あるいは、見知らぬ建物のなかを、一部屋一部屋めぐるような、
また、様々な演出的仕掛けが、エッシャーの絵のように、本当は? の疑問をともなって、
そう、どきどきしながら、見るものはみちびかれていく。
どきどき、どきどき。
主要な登場人物以外に、謎めいた不可解な登場者がふたり、他方は饒舌、他方は沈黙。
彼らにより、多重さは、さらに不思議な方向性が加えられる。
特に寡黙な登場者、芝居全体にある方向の深みを与える重要な位置づけを果たしている。
シーンは少ないが、確実な演技で実現できていたと思う。
おいしい役。
利賀の演劇人コンクールは、野外劇であった。
屋根がないことが野外にあらず、際限のない空間を、劇的空間とすることであることを、実感させられた。
森と、森の深みと、闇と、光とが、劇的空間とされていた。
七つ寺の狭い舞台で、どのように再構成されるであろうか。
美しく立ちすわり、しなやかに語る、役者たち。
ぞくぞくさせる時空間。
楽しみです。