満足度★★★
白い空間
様々な演出で上演されている作品で、この演出ではいくつかの場面を繰り返す構成となっていて、シンプルな美術が印象に残りました。
見世物小屋の場面から始まり、その後は一般的な順番で物語が展開しました。本来は終盤に語られる、孤独な子供の寓話が大きくフィーチャーされていて何度も登場するのですが、くどくて逆に印象が薄まってしまったように感じました。前半のテンポ感に比べて後半はもったいぶった間が多くて長く感じました。
池に入っていく描写や妻の亡骸の表現等が削ぎ落としたものとなっていて新鮮でした。
白い床と両サイドに雁行して立つ白い壁に数脚の箱状の椅子数脚だけという抽象的な舞台の中、照明の変化で次々と展開する場面を描き分けていました。壁が光を通す素材で出来ていて、影絵を用いて狭い舞台の中に奥行きを生み出していたのが印象的でした。
ワイヤーを編み込んで作ったロバや猫の美術の造形が美しかったものの、全体の中で異質で浮いている感じがありました。
それぞれの役に役者が合っていてヴォイツェクが荒んで行く様子にリアリティ—が感じられて良かったです。